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河津聖恵のブログ 「詩空間」

この世界が輝きわたる詩のプリズムを探しつづける。

パリ初日(その2)

バリの中心からRER(高速鉄道)と路面電車を乗り継ぎ、サン・ドニ聖堂まで行きました(方向音痴な私一人では辿り着けなかったであろう)。ボール・エリュアールの生まれ育った街です。 レジスタンスの時代に書かれ、自由を奪われたパリの街に英空軍機から撒かれ…

パリ初日(その1)

パリ初日。幸運なことにこの街を愛する地元の元青年(永遠の青年だと思う)の案内を得て、初日から市内を半分歩いて横断し、さらにRERでサン・ドニまで足を延ばすことが出来ました。 パリに生まれ育ち、絵も音楽をバリで学んだ人。行き当たる小路の猫のことや…

1月15日付京都新聞朝刊文化欄 「詩歌の本棚・新刊評」

日本の戦後詩は一九四七年、詩誌『荒地』創刊から始まったとされる。その代表的な詩人北村太郎の詩集『港の人』(一九八八)が、昨秋出版社「港の人」から復刊された。三十年後の今読んでも(あるいは今だからか)、詩を書くことで廃墟を生き抜いた詩人の鋭…

パリでの朗読会のお知らせ

1月20日18時半から、下記のヴィジュアルポエジー展のヴェルニサージュで「月下美人」(『夏の花』所収)を日本語で朗読します。パリにゆかりある方々、当日いらっしゃる方はぜひいらして下さい。 月下美人は、少なくとも冬のバリには絶対咲いていない花。凍え…

イベントのお知らせ:12月5日トーク&朗読「絵と詩の対話--詩集『夏の花』の裝画をめぐって」

【イベントのお知らせです】 来月2日(土)から10日(日)まで玉川麻衣さんの個展が開催されます(3日(日)のみ休)。玉川さんは、今年5月に出た私の最新詩集『夏の花』の素晴らしい表紙装画(このブログのヘッダーにも使わせて頂いています)を描いて下さいました。…

2017年11月20日付京都新聞文化欄「詩歌の本棚/新刊評」

『桃谷容子全詩集』(編集工房ノア)が上梓された。今年で没後十五年となる詩人は、一九四七年有名な企業の創業者の孫として生まれたが、キリスト教者の父母の愛に恵まれず、裕福な家で魂の空白感に苛まれて育つ。生来の純粋さゆえに結婚生活が破綻した後は…

『三島由紀夫未公開インタビュー』続

前回のブログ記事で『三島由紀夫未公開インタビュー』を話題にしましたが、憲法九条についての作家の発言を、ご紹介しておこうと思います。 今折しも総選挙で、各党の憲法に対する考え方も、大きな争点になっています。 三島由紀夫の発言は、もう45年も前の…

『告白ー三島由紀夫未公開インタビュー』(講談社)

面白く読んだ一冊です。 今年初め、TBS社員が、自社のロッカーに保存されていた「放送禁止扱い」の数百本のテープの中から、これまで知られていなかった三島由紀夫のインタビューのテープを発見した、というニュースが流れました。 ニュースで聴くことが出来…

10月2日付京都新聞掲載「詩歌の本棚/新刊評」

仏文学者・詩人の粟津則雄氏が、第二次大戦末期京都にいた頃の思い出を、詩誌「雛罌粟(コクリコ)」5号に書いている。当時中学生の氏は、隣家の書斎で生涯の研究対象ランボーと出会う。軍需工場に勤労動員され疲れ果てる日々、氏を支えたのは「いつの間にか…

若冲ゆかりの二つの寺へ

先週と今週の土曜日、若冲ゆかりの二つのお寺へ行って来ました。 一つは宇治市にある黄檗宗の本山萬福寺です。インゲン豆にその名を残す中国僧隠元が開基です。 中国的なお寺に特徴的な、端がはねあがっている屋根が目を引きます。建物自体からどんな重い俗…

『パターソン』(ジム・ジャームッシュ監督)

ジム・ジャームッシュ監督『パターソン』をみました。『空と風と星の詩人』と同じく詩人をモチーフとした映画です。 『空と風と星の詩人』がモノクロで過去の朝鮮と日本を舞台とし、非業の詩人の宿命を「物語」として映像化した作品だとすれば、『パターソン…

「 映画『空と風と星の詩人』公開記念 詩人を偲ぶ秋の集い」

先週の土曜日(9月16日)に、同志社大学で行われた「映画『空と風と星の詩人』公開記念 詩人を偲ぶ秋の集い」は大変多くの方々が集ってくれました。 私も事前にSNSで頻繁に情報を流していたので、それを見て来てくれた人も意外に多くて、あらためてSNSの発信力…

詩人黒田喜夫の中国核実験への回答

昨夜のNHKスペシャル「沖縄と核」は衝撃的でした。今の辺野古の新基地建設も含めて、沖縄の基地問題は核という視点から捉えるべきだと思いました。 返還前の沖縄の恩納村のミサイル基地には、広島の原爆の70倍もの威力を持つ核ミサイルが多数配備されていた…

映画『空と風と星の詩人〜尹東柱の生涯〜』公開記念 詩人を偲ぶ秋の集い

来たる9月16日(土)から京都シネマで、先日このブログでもお伝えした詩人尹東柱の生涯を描いた映画『空と風と星の詩人』が上映されます。 この上映に合わせて、尹東柱が文学を学んでいた同志社大学でイベントが開催されます。 私もトークに参加しますので、是…

辺見庸 目取真俊『沖縄と国家』(角川新書)

長年互いに惹かれあいながら、この対談で初めて会ったという二人の作家の対談集。明治から戦後72年も経つ今にいたるまで、国家の暴力にさらされてきた沖縄をめぐり、それぞれの立ち位置を見定めながら作家として生きてきた「個」の重みをかけて、語りあって…

四方田犬彦「旧植民地下の詩人たちの映像」(「現代詩手帖」9月号)をめぐって

「現代詩手帖」9月号に、四方田犬彦さんによる「旧植民地下の詩人たちの映像ー『空と風と星の詩人』、『日曜日の散歩者』」が掲載されています。 四方田さんは前者を「外部から受難と抵抗の神話を更新することはできても、詩を書くという行為の孤独さそのも…

朱と闇

伏見稲荷大社を訪れました。どこまでも立ち並ぶ千本鳥居の朱色が、九月の光に美しく映えていました。 とりどりに配色鮮やかな浴衣を着た多くの女性たちと擦れ違いました。笑いさざめきもまた、空気に優しい色を添えるよう。 何とはなしに、見ておきたかった…

8月21日京都新聞・詩歌の本棚/新刊評

『朴正大詩集 チェ・ゲバラ万歳』(権宅明訳、佐川亜紀監修、土曜美術社出版販売)は、韓国の民主化世代の詩人(一九六五年生)の訳詩集。メッセージ性と抒情性が一体となった長い各行は、ラップの詩のように一息に読まれる勢いと言葉の野性味がある。昨年末…

茨木のり子と尹東柱

数日前尹東柱の映画について書きましたが、今日は、茨木のり子さんと尹東柱との関係について少し触れます。 少し前のことになりますが、去る4月23日、愛知県西尾市の「横須賀ふれあいセンター」で「茨木のり子と尹東柱」という講演をさせていただきました…

「空と風と星の詩人〜尹 東柱の生涯」(イ・ジュニク監督、韓国映画)

「空と風と星の詩人〜尹東柱の生涯」(イ・ジュニク監督、韓国映画)を、心斎橋シネマートで見ました。 じつは、期待しすぎて失望するのを恐れ(?)、あまり期待しておかないでおこうと思っていた映画だったのですが、予想に反し、詩人尹東柱の生と詩の本質を映…

阿弖流為と母礼の顕彰碑

清水寺に行きました(清水寺とその周辺は好きな場所で、時折訪れます)。本堂が工事中で全体が覆われていたのが少し残念でした。胎内くぐりに初めてトライしました(闇そのものには光があるのだと感じました)。境内で、こんな碑を見つけました。阿弖流為(アテル…

雨の中、五百羅漢に出会いました

一昨日雨をついて(というのも大げさですが)、若冲のお墓のある石峰寺(京都市伏見区)を訪れました。思っていた以上に静かで優しく、緑ゆたかな美しい場所でした。お墓から裏山に進むと、竹林のあちこちに絵師がデザインした五百羅漢の石仏が無数に佇んでいま…

『夏の花』その後

「現代詩手帖」7月号の詩集評で、時里二郎さんが新詩集『夏の花』(思潮社、5月刊)について書いて下さっています。詩というものの本質から拙詩集の核心にまっすぐに切り込んだ評です。まだ読んでいない方にも分かりやすく魅力的な紹介になっていると思い…

『詩と思想』7月号に「黒曜石の言葉の切っ先ー高良留美子『女性・戦争・アジア』から深く鼓舞されて」を書いています。

『詩と思想』7月号(高良留美子特集)に、「黒曜石の言葉の切っ先ー高良留美子『女性・戦争・アジア』から深く鼓舞されて」を書いています。 『女性・戦争・アジア』は、土曜美術社出版販売から出た最新評論集です。「詩と会い、世界と出会う」という副題がつ…

7月3日京都新聞朝刊・詩歌の本棚新刊評

先月いわゆる「共謀罪」法が成立した。この法をめぐっては人権侵害の懸念があるとされる。端的にはテロか自由かを突きつける法案だったが、「内心の自由」「表現の自由」の問題は詩にも深く関わるはずだ。なぜなら突きつめれば詩とは、「内心の自由」そのも…

2017年5月15日付京都新聞「詩歌の本棚・新刊評」

桜が満開を迎えた頃、大岡信氏の訃報が伝えられた。二〇〇七年「しずおか連詩の会」に私も「連衆」の一人として招かれ、「捌き手」としての氏の炯眼に蒙を啓かれた。「自分の記憶と知識から書かない」「全体を振り返らない」「直前の相手に集中する」―。氏は…

新詩集『夏の花』が刊行されました

新詩集『夏の花』(思潮社)が刊行されました。 発行日は5月1日ですが、発売日は15日で、あと2日後です。 アマゾンなどでももう予約受付が始まっています。 この詩集は、原発事故後から書き継いだ、花をモチーフとする詩17篇をまとめたものです。装画は玉…

4月3日付京都新聞文化欄・詩歌の本棚/新刊評

高良留美子『女性・戦争・アジア―詩と会い、世界と出会う』(土曜美術社出版販売)が出た。社会への鋭敏な批評眼と繊細な詩的感受性を併せ持つ希有な詩人の、五十八年間の評論活動の集大成だ。敗戦時氏は中学一年生。当時戦争をすぐに忘れた大人たちの「明る…

2017年2月20日付京都新聞・詩歌の本棚/新刊評

原発事故からもうすぐ六年。現実はあの時から何も変わらないようでいて、不可視の異化を遂げているように思う。だが異化はつねに探し当て新しい言葉で表現しようとしなければ、容易に見失われるだろう。事故は風化しつづけ、被災者の悲しみは深まっている。…

『詩と思想』一・二月号

『詩と思想』一・二月号で、黒川純さんが、昨年一年私が担当した投稿欄について触れて下さっています。私が最優秀作品に選んだ佐々木漣さんの別の投稿詩の一節の引用も。 今号は選評の他に最優秀作品として、秋亜綺羅さんは藤川みちるさんの「聖誕祭」を、私…