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河津聖恵のブログ 「詩空間」

この世界が輝きわたる詩のプリズムを探しつづける。

7月24日付「しんぶん赤旗」文化面・「詩壇」

沖縄全戦没者追悼式で中学三年生の相良倫子さんが朗読した詩「生きる」は、内容と一体化した真摯な声で多くの人々の心を打った。「私は、生きている。/マントルの熱を伝える大地を踏みしめ、/心地よい湿気を孕(はら)んだ風を全身に受け、/草の匂いを鼻孔…

7月16日付京都新聞文化欄「詩歌の本棚・新刊評」

沖縄全戦没者追悼式で朗読された詩「生きる」が、話題を呼んでいる。作者は中学三年生の相良倫子さん。沖縄の自然のかけがえのない輝きとそこに生きる歓びをうたう、素晴らしい内容と朗読だった。率直に思いを述べたこの詩を、詩として評価するのは難しいか…

「抗いの意志を刻む」(6月25日付「しんぶん赤旗」文化面・「詩壇」)

金時鐘(キム・シジョン)氏の詩集の刊行が相次いでいる。今年2月に『金時鐘コレクション』(藤原書店)が発刊され、『祈り 金時鐘詩選集』(丁海玉(チョン・ヘオク)編、港の人)、新詩集『背中の地図』(河出書房新社)が続く。これで一九五〇年代に始まる…

映画「万引き家族」を観て

是枝裕和監督「万引き家族」を観ました。予想以上にひきこまれる映画でした。通常の映画が家族や社会や国家という共同体を疑わないで成り立つものだとしたら、この映画は共同体あるいは共同性を無条件に前提としていません。そこがまず良かったです。絆や繋…

6月4日付京都新聞文化面「詩歌の本棚/新刊評」

金時鐘氏の詩集が次々刊行されている。『金時鐘コレクション』(藤原書店)、『金時鐘詩選集―祈り』(丁海玉編、港の人)、新詩集『背中の地図』(河出書房新社)と続く。これら三書からは一九五〇年代に始まる氏の、六十年以上の詩的営為の全体像を見て取…

『ファントム 』3号(編集/発行 為平澪)

為平澪さんが主宰する詩誌『ファントム 』3号が届きました。 とても美しい装丁で、手に取った落ち感も良く、1号ずつ、まさに職人技で一つの詩の「空間」を創造しようとする為平さんの意志が、すみずみに感じられます。執筆者は浦世羊島、麻生有里、奥主榮、…

平和をうたう訴求力(5月28日付「しんぶん赤旗」)

平和をテーマとする詩は今決して少なくない。平和が脅かされる時代に平和を描こうとするのは、自然であるし望ましい。だが詩の世界を越え、市井の人々の琴線に触れる言葉はまだ生まれていない気がする。足りないのは何か。自戒も込め最近ではこう思う。足り…

金時鐘コレクション発刊記念イベント「今なぜ金時鐘か」にご参集を!!

金時鐘コレクション発刊記念イベント「今なぜ金時鐘か」が、いよいよ来週の土曜に大阪で行われます。私もパネラーとして参加します。金時鐘さんの生と詩は、植民地下朝鮮と戦後革命という、この国が忘却し抹殺した歴史のネガとして今こそ立ち上がってきてい…

歴史の明日をまえに

明日は、朝鮮戦争が終結する歴史の転換点を迎える。だが新聞のテレビ欄を広げてみても、朝鮮戦争と何だったのか、というような特番をテレビ局のどこも組んでいない。その様相はあまりにも予想通りで(むしろ今しか見ない視点でバッシングする論調ばかりがある…

4月20日付しんぶん赤旗「詩壇」第4回・「モダニズム」の自覚

現代詩とは、形式とテーマにおいて「絶対に現代的であらねばならない」(アルチュール・ランボー)詩のジャンルだ。では「現代的」とは何か。それは、詩人が自分と自分の生きる時代を考え尽くすことから獲得される、時代を乗り越える言葉の新しさ、ではない…

2018年4月16日付京都新聞文化欄「詩歌の本棚/新刊評」

現代詩から今思想やテーマが消えていると言われる。最近の詩誌や詩集から私もそうした印象を持たざるをえない。ある種の若い書き手達は「ゼロ年代」と呼ばれるが、それは年代というより思想やテーマの稀薄さを指す呼称だろう。その「不毛さ」の中で詩が唯一…

2018年3月23日付しんぶん赤旗文化面「詩壇」

〈人間〉を生み出す 河津聖恵 侵略戦争や植民地支配の加害責任を、日本人である私が我が身に引き受けて考えることは、辛く難しい。しかし支えとなる言葉がある。「〈人間〉はつねに加害者のなかから生まれる」。石原吉郎がエッセイ「ペシミストの勇気」で述…

信仰者の詩をどう読むか

キリスト教の信仰を持つある書き手の方の新詩集の帯文を書かせていただいた。来月には刊行されるだろうか。 頼まれた当初は、うれしく思いつつも、一方で不安でもあった。キリスト教の信仰を頭でしかわからない私が、その信仰をもといに書かれた詩に足を踏み…

2018年3月5日付京都新聞「詩歌の本棚/新刊評」

金時鐘・佐高信『「在日」を生きる』(集英社新書)は、日本語が母語の者が意識しにくい、日本語に潜む負の力を指摘する。五十音による発音の排他性と、情感に均されることによる批判精神の欠落だが、現代の書き手はそうした問題と無縁だろうか。むしろそれ…

2月26日付しんぶん赤旗文化面「詩壇」

「政治と詩」というテーマは難しい。この国では残念ながら詩人たちにも政治への忌避感が根深いが、そもそも詩という個人的でよるべない言語芸術が、政治という集団的で巨大な問題と向き合うことは、容易ではない。 だが東日本大震災と原発事故は、詩が個人的…

書評・中川成美『戦争をよむ』(岩波書店] )(図書新聞3338/2月10日号)

思えば最近まで、戦争を描いた作品をあらためて手に取ることはなかった。子供の頃は戦争体験者の父が多くの戦記物を買ってくれたし、世間で戦争の記憶が風化しても、両親が亡くなるまでは彼らの存在がおのずと記憶を喚起した。だが彼らの死後、私は戦争を急…

この青からより青なる青へ 歌集『青の時計』(荒川源吾)書評 ・「思想運動」2月1日、1015号

白地にタイトルと名前だけを刻印したシンプルで美しい表紙。前後の見返しには著者の住む町なのか、郊外の濃青の夕暮れの写真が刷られている。どちらもこの歌集の内容を見事に象徴する。前者は集中の歌「立つものが全て時計になる真昼晴天(はれ)の雪野に青く…

2018年1月29日付「しんぶん赤旗」文化欄・「詩壇」

日本の戦後詩は1947年、詩誌『荒地』創刊から始まる。昨年は70年目に当たったが、詩の世界に戦後詩を振り返る動きがほとんど見られなかった。なぜだろう。 同じく敗戦の荒廃から出発しつつ、『荒地』は詩人の流派として主にモダニズムの姿勢で書き、もう一方…

パリ初日(その2)

バリの中心からRER(高速鉄道)と路面電車を乗り継ぎ、サン・ドニ聖堂まで行きました(方向音痴な私一人では辿り着けなかったであろう)。ボール・エリュアールの生まれ育った街です。 レジスタンスの時代に書かれ、自由を奪われたパリの街に英空軍機から撒かれ…

パリ初日(その1)

パリ初日。幸運なことにこの街を愛する地元の元青年(永遠の青年だと思う)の案内を得て、初日から市内を半分歩いて横断し、さらにRERでサン・ドニまで足を延ばすことが出来ました。 パリに生まれ育ち、絵も音楽をバリで学んだ人。行き当たる小路の猫のことや…

1月15日付京都新聞朝刊文化欄 「詩歌の本棚・新刊評」

日本の戦後詩は一九四七年、詩誌『荒地』創刊から始まったとされる。その代表的な詩人北村太郎の詩集『港の人』(一九八八)が、昨秋出版社「港の人」から復刊された。三十年後の今読んでも(あるいは今だからか)、詩を書くことで廃墟を生き抜いた詩人の鋭…

パリでの朗読会のお知らせ

1月20日18時半から、下記のヴィジュアルポエジー展のヴェルニサージュで「月下美人」(『夏の花』所収)を日本語で朗読します。パリにゆかりある方々、当日いらっしゃる方はぜひいらして下さい。 月下美人は、少なくとも冬のバリには絶対咲いていない花。凍え…

イベントのお知らせ:12月5日トーク&朗読「絵と詩の対話--詩集『夏の花』の裝画をめぐって」

【イベントのお知らせです】 来月2日(土)から10日(日)まで玉川麻衣さんの個展が開催されます(3日(日)のみ休)。玉川さんは、今年5月に出た私の最新詩集『夏の花』の素晴らしい表紙装画(このブログのヘッダーにも使わせて頂いています)を描いて下さいました。…

2017年11月20日付京都新聞文化欄「詩歌の本棚/新刊評」

『桃谷容子全詩集』(編集工房ノア)が上梓された。今年で没後十五年となる詩人は、一九四七年有名な企業の創業者の孫として生まれたが、キリスト教者の父母の愛に恵まれず、裕福な家で魂の空白感に苛まれて育つ。生来の純粋さゆえに結婚生活が破綻した後は…

『三島由紀夫未公開インタビュー』続

前回のブログ記事で『三島由紀夫未公開インタビュー』を話題にしましたが、憲法九条についての作家の発言を、ご紹介しておこうと思います。 今折しも総選挙で、各党の憲法に対する考え方も、大きな争点になっています。 三島由紀夫の発言は、もう45年も前の…

『告白ー三島由紀夫未公開インタビュー』(講談社)

面白く読んだ一冊です。 今年初め、TBS社員が、自社のロッカーに保存されていた「放送禁止扱い」の数百本のテープの中から、これまで知られていなかった三島由紀夫のインタビューのテープを発見した、というニュースが流れました。 ニュースで聴くことが出来…

10月2日付京都新聞掲載「詩歌の本棚/新刊評」

仏文学者・詩人の粟津則雄氏が、第二次大戦末期京都にいた頃の思い出を、詩誌「雛罌粟(コクリコ)」5号に書いている。当時中学生の氏は、隣家の書斎で生涯の研究対象ランボーと出会う。軍需工場に勤労動員され疲れ果てる日々、氏を支えたのは「いつの間にか…

若冲ゆかりの二つの寺へ

先週と今週の土曜日、若冲ゆかりの二つのお寺へ行って来ました。 一つは宇治市にある黄檗宗の本山萬福寺です。インゲン豆にその名を残す中国僧隠元が開基です。 中国的なお寺に特徴的な、端がはねあがっている屋根が目を引きます。建物自体からどんな重い俗…

『パターソン』(ジム・ジャームッシュ監督)

ジム・ジャームッシュ監督『パターソン』をみました。『空と風と星の詩人』と同じく詩人をモチーフとした映画です。 『空と風と星の詩人』がモノクロで過去の朝鮮と日本を舞台とし、非業の詩人の宿命を「物語」として映像化した作品だとすれば、『パターソン…

「 映画『空と風と星の詩人』公開記念 詩人を偲ぶ秋の集い」

先週の土曜日(9月16日)に、同志社大学で行われた「映画『空と風と星の詩人』公開記念 詩人を偲ぶ秋の集い」は大変多くの方々が集ってくれました。 私も事前にSNSで頻繁に情報を流していたので、それを見て来てくれた人も意外に多くて、あらためてSNSの発信力…