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河津聖恵のブログ 「詩空間」

この世界が輝きわたる詩のプリズムを探しつづける。

2020-05-19から1日間の記事一覧

2020年5月18日京都新聞・「詩歌の本棚/新刊評」

今ウイルスという極小の存在が、人と現実との関係を根本から動揺させている。詩を書く者もまた揺るがずにはいられない。だが詩を読んだり書いたりすると不思議と心は鎮まる。詩は言葉という極小のものと人との関係に重心を持つからだと気づく。恐れや不安よ…

「二重の空虚、未曾有の自由ー『八田木枯全句集』を読む」(『ふらんす堂通信』164号)

『ふらんす堂通信』164号に「二重の空虚、未曾有の自由ー『八田木枯全句集』を読む」を書いています。俳句について初めて書いた文章です。木枯俳句が明かす五七五の生命力と、十七音に絡み合う空虚の魅惑。句から想像される三島由紀夫への思いにも触れました…

李龍徳『あなたが私を竹槍で突き殺す前に』(河出書房新社)書評 2020年5月17日付「しんぶん赤旗」

増え続ける外国人への憎悪犯罪に対し、いまだ抜本的な対策が取られない日本。その今を生きる在日三世の作家が、近未来のディストピアを生きる同世代の苦悩を、息詰まる会話と展開によって描き出す。今からほんの先の未来、特別永住者の制度は廃止され、外国…

宇梶静江『大地よ!』(藤原書店)書評 2020年5月10日共同通信

八十七歳の古布絵作家・詩人が同胞への遺言として綴った自伝である。 北海道のアイヌ集落に生まれた作者は、幼時から農業や行商に明け暮れる中、カムイ(神々)と共に生きる大人たちの姿から、民族の精神性を魂に刻まれる。だが旧土人保護法以降尊厳を根こぎ…