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河津聖恵のブログ 「詩空間」

この世界が輝きわたる詩のプリズムを探しつづける。

HP「詩と絵の対話」を更新しました。

HP「詩と絵の対話」を更新しました。 今回のゲストは宮尾節子さん。南アフリカ出身の画家マルレーネ・デュマスについて書いて下さいました。 自分がなぜこの異色の画家に共鳴したのかー自身の奥底にあるその理由を、宮尾さんはまさに現在進行形でスリリング…

2020年8月18日京都新聞朝刊文化面「詩歌の本棚・新刊評」

詩を書く時、多くの書き手は白紙状態で詩を待つだろう。特に聴覚を鋭敏にして。私が考える詩作の実相は以下のようだ。まず日常で最も酷使される視覚を閉ざし、書き手は全身で耳を澄ます。詩の根源である未知の世界から音や声を感知するまで。耳を澄ます姿勢…

『「毒虫」詩論序説ー声と声なき声のはざまで』(ふらんす堂)について今思うこと

新著の版元であるふらんす堂の山岡喜美子さんのブログhttps://fragie.exblog.jp/31284757/ に以下の文章を寄せました。ちなみに山岡さんのブログでは、新著の造本についても詳しく紹介されています。 『「毒虫」詩論序説ー声と声なき声のはざまで』(ふらんす…

第4詩論集『「毒虫」詩論序説ー声と声なき声のはざまに』が本日出来上がりました。

第4詩論集『「毒虫」詩論序説ー声と声なき声のはざまに』(ふらんす堂)が本日出来上がりました。 2015年から2019年にかけて発表した、詩論、エッセイ、書評、時評を収めました。 「詩は『毒虫』の声の側にある。正確には『毒虫』の中の人間の声、つまり毒虫化…

2020年7月6日付京都新聞朝刊文化面「詩歌の本棚・新刊評」

自分が京都の地で詩を書くとはどういうことか。あるいは詩を書くことと、自分が生きる土地とはどう関わるのか。詩作にとって実は大切なこの問いへの一つの答えを、『詩の立会人 大野新随筆選集』(外村彰・苗村吉昭編、サンライ出版)に見つけた。没後十年を機…

近刊『「毒虫」詩論序説ー声と声なき声のはざまで』のお知らせ

お知らせです。 私の四番目の詩論集が、来たる7月14日に上梓されます。現代詩についての論集としては、恐らく最後のものになると思います。版元、装丁、装画、作者全て女性の本です。結果的にそうなりましたが、内容からも必然だった気がします。 ご関心があ…

HP「詩と絵の対話」更新

HP「詩と絵の対話」更新しました。今回のゲストは君野隆久さん。難波田史男という1974年に32歳で「この世から消えた」画家について、エッセイを書いていただきました。私は若冲の絵「芍薬群蝶図」をめぐる詩とエッセイを書いています。どうぞご高覧下さい。 …

2020年5月18日京都新聞・「詩歌の本棚/新刊評」

今ウイルスという極小の存在が、人と現実との関係を根本から動揺させている。詩を書く者もまた揺るがずにはいられない。だが詩を読んだり書いたりすると不思議と心は鎮まる。詩は言葉という極小のものと人との関係に重心を持つからだと気づく。恐れや不安よ…

「二重の空虚、未曾有の自由ー『八田木枯全句集』を読む」(『ふらんす堂通信』164号)

『ふらんす堂通信』164号に「二重の空虚、未曾有の自由ー『八田木枯全句集』を読む」を書いています。俳句について初めて書いた文章です。木枯俳句が明かす五七五の生命力と、十七音に絡み合う空虚の魅惑。句から想像される三島由紀夫への思いにも触れました…

李龍徳『あなたが私を竹槍で突き殺す前に』(河出書房新社)書評 2020年5月17日付「しんぶん赤旗」

増え続ける外国人への憎悪犯罪に対し、いまだ抜本的な対策が取られない日本。その今を生きる在日三世の作家が、近未来のディストピアを生きる同世代の苦悩を、息詰まる会話と展開によって描き出す。今からほんの先の未来、特別永住者の制度は廃止され、外国…

宇梶静江『大地よ!』(藤原書店)書評 2020年5月10日共同通信

八十七歳の古布絵作家・詩人が同胞への遺言として綴った自伝である。 北海道のアイヌ集落に生まれた作者は、幼時から農業や行商に明け暮れる中、カムイ(神々)と共に生きる大人たちの姿から、民族の精神性を魂に刻まれる。だが旧土人保護法以降尊厳を根こぎ…

HP「詩と絵の対話」更新

HP「詩と絵の対話」を更新しました。 https://www.shikukan.com/ 今回のゲストは水島英己さん。ブリューゲルの絵とその絵に触発されて書かれたオーデンの詩を取り上げ、「災厄」への両者の眼差しの違いを捉えながら、現在の新たな「災厄」と向き合うヒントを…

2020年4月6日付京都新聞文化面「詩歌の本棚・新刊評」

羇旅歌というジャンルがある。旅の体験や感慨をうたう詩歌で、『万葉集』が始まりとされる。十年以上前、私も紀州・熊野を幾度となく旅し、京都に戻るたびに詩を書くという体験を続けた。彼地の様々な美しさへの感動を、それが醒めやらぬうちに机上で言葉に…

2020年2月17日京都新聞文化面「詩歌の本棚・新刊評」

先月京都で伊藤若冲の展覧会を見た。絵師の目と技が生き物から引き出した命の輝きが、二百数十年後の今に溢れていた。これは詩の輝きではないか、詩人も言葉で心情にイメージを与える絵師ではないか―思いはいつしか詩へ向かった。 宮せつ湖『雨が降りそう』(…

HP「詩と絵の対話」を更新しました

新しい年となりました。今年もどうぞよろしくお願いします。 世相や時代状況はどうあれ、古い時間と新しい時間が入れ替わる新年の感覚はやはりよいですね。 HP「詩と絵の対話」を更新しました。 URLはhttps://www.shikukan.com/ です。 今月のゲストは長田典…

2019年12月17日付しんぶん赤旗文化面「詩壇」(最終回)

今現実を直視する詩人は、怒りの感情と無縁ではいられない。そして詩とは怒りを解消するのでなく、より深いものにする言葉の模索だ。 水島英己『野の戦い、海の思い』(思潮社)には、沖縄の基地問題に対する激しい怒りがある。だが作者は感情をあらわにはせず…

2019年12月16日付京都新聞朝刊「詩歌の本棚・新刊評」

先月訪れたパリでの散策中、ある街角を曲がると、ふいに詩が現れて驚いた。壁二面にわたりランボー 「酩酊船」が刻まれていたのだ。壁の近くにかつてあったカフェで、17歳の詩人はパリ・コミューンへの共感をもとに書いたこの名作を朗読したという。荒れ狂う…

HP「詩と絵の対話」を更新しました。

HP「詩と絵の対話」を更新しました。今回のゲストは秋川久紫さんです。詩と美術の関係について、長編力作を寄せて下さいました。私は若冲の「樹花鳥獣屏風図」をモチーフとした詩とその解説を。全体的に見やすくしました。ご高覧下さい。https://www.shikuka…

2019年11月25日付しんぶん赤旗「詩壇」

大西昭彦『狂った庭』(澪標)は、世界の片隅で生きる弱者たちの気配を、的確な描写と巧みな比喩で、読む者の感覚の深みに伝える珠玉の一集だ。 作者は映像プロデューサーでもある。ユーゴ内戦や阪神・淡路大震災を取材した。本詩集には作者が出会った同時代を…

2019年11月16日ビジュアルポエトリーパリ展オープニングにて

一昨日に行われたヴィジュアルポエトリーパリ展のオープニングで朗読しました。作品は4点出しています。 朗読はベルリンのフランツ奈緒子さんにフランス語訳を、私の日本語に一部重ねるように読んでいただきました。 フランツさんとは、2012年大飯原発再稼働…

2019年11月4日付京都新聞「詩歌の本棚/新刊評」

今現代詩の存在意義が見えにくい。書店の詩の棚はもはや短詩型が主流だ。社会の急激な変化に人々が抱く危機感に対し、このジャンルは応答が遅れているからだろう。個人の物語に閉ざされた詩も漫然と増えているようだ。だがそもそもは現代性を根拠とするジャ…

2019年10月25日付しんぶん赤旗文化面「詩壇」

長田典子『ニューヨーク・ディグ・ダグ』(思潮社)は、2011年から2年間米国に留学をした体験の結実だ。異文化との葛藤、日米双方への違和感といったテーマと共に、作者は自分自身の苦悩と向き合っていく。幼年期のDVのトラウマ、来し方への自省、愛への疑念―…

9月23日付しんぶん赤旗「詩壇」

『薔薇色のアパリシオン 富士原清一詩文集成』(京谷裕彰編、共和国)は、戦前日本のシュルレアリスム運動の中心にいて、知的で幻想的なすぐれた作品で注目されながら、一冊の詩集も出さず1944年、36歳の若さで戦死した詩人の全体像を明かす貴重な一書だ。 シ…

HP「詩と絵の対話」を更新しました。

HP「詩と絵の対話」を更新しました。 URLはhttps://www.shikukan.comです。 今月のゲストはヤリタミサコさんです。視覚詩の実作者としての体験から大変興味深いエッセイを書いていただきました。これまで日本と世界の視覚詩の歴史と交流などはなかなか知られ…

2019年9月16日付京都新聞「詩歌の本棚/新刊評」

今の時代と一九三〇年代は似ていると言われる。技術や産業の発展、大衆消費社会、不況と格差の拡大、民主主義の機能不全、排他主義と戦争の足音―。最近シュルレアリスム関係の詩書の出版が相次ぐのも、偶然ではないだろう。一九三〇年代に興隆した日本のシュ…

2019年8月21日付しんぶん赤旗「詩壇」

『新国誠一詩集』(思潮社)が出た。新国は1960年代から70年代にかけて「視覚詩」を独自の方法論で切り拓いた詩人だ。当時国際的にも高い評価を得ていたが、死後は言及が少なくなっただけに、今回の上梓を喜びたい。 視覚詩とは、文字の形や配置などで視覚性を…

2019年8月5日付京都新聞朝刊文化面「詩歌の本棚・新刊評」

『二十歳の原点』の作者高野悦子さんが亡くなって今年で半世紀。栃木の詩誌「序説」第26号所収のエッセイ高橋一男「京と(6)」を読んで気づいた。故郷が栃木だったことも。同時代に青春を送った高橋氏は「永遠の憧れの対象」の残像を追い、京都の街を電…

2019年7月29日付「しんぶん赤旗」文化面・「詩壇」

かつて現代詩の舞台の多くは、都会としての都市だった。都市の現象や文化が、問題性も含めて現代性の象徴と目されたからだ。都市の孤独を享受する言葉が、輝いて見えた時代も確かにあった。だが今はどうか。 二十年ぶりに詩活動を再開した山本育夫の、『田舎…

2019年6月21日しんぶん赤旗文化面「詩壇」

与那覇恵子詩集『沖縄から見えるもの』(コールサック社)は第1詩集。作者は沖縄の大学で長年英語教育に携わりながら、詩作を続けてきた。またほぼ同時に論集『沖縄の怒り―政治的リテラシーを問う』(同)も上梓した。後者は琉球新報と沖縄タイムスの論壇へ投稿…

2019年6月17日付京都新聞文化面「詩歌の本棚/新刊評」

某誌の改元記念号に、二人の詩人が寄せた皇室賛美の文章が一部で話題になっている。前衛詩人が抒情的な言葉で礼賛したことに衝撃を受けた人は少なくない。戦前の抒情詩人の多くは、自身の抒情を対象化する批評力を持たなかったために、やがては戦争詩を書く…