※全行程はHP(http://reliance.blog.eonet.jp/default/shikukan.html)にて御覧いただけます。
1416鳴り止まぬ線量計のアラームは傷付けられし細胞の声
1417生命史四十億年の尊さを嘲笑いたる人工放射能
1418溶け落ちて行方知られぬ熱き死をな忘れそそはつねに汝に迫れり
1419カナカナに透けゆく夕に立ちすくむ今このときの空蝉の命
1420ひとときの安らぎ夢の弔いに今も平和の想いとわにと/ひたむきに祈りの想い感じるやいのちの響きとわに交わして/ふたたびの閃光きたり三たびなし想い裏切り世界愛あれ/ひとゆめの淡い色して願う舞い小さな花と愛運ぶ風
1421月渡り吐息もときにもらす君関電前で汗ぬぐう君
1422デモの声ガマの油か聞かざればものの廃炉と理方わからぬ
1423馬鹿な国何を種とて憂き草の浪に原発事故起こすらむ(本歌:蒔かなくに何を種とて浮草の浪の畝々生ひ茂るらむ)
1424ふるさとといふ幻想が人癒し人縛り付け今日も揺蕩ふ
1425人はみなさすらふ故郷喪失者この世に生まれ落ちたときから
1426ふるさとといふ幻想とみんぞくといふ夢そしてくにといふ夢
1427郷愁も愛も国家も幻想と気付くことから再生の道 (1424から1426へ返歌)
1428瓦礫脇おしろい花が咲いてるよ胸のパス入れ声かけてみる
1429為政者の言葉かろかろ音をたて命ひしめく夏を逝かすや
1430かろかろと夏に澱みて薄笑い背に闇の口命ひしめき(1429へ返歌)
1431灯火のプラグのすゑに核なくば秋の心のさやけからまし
1432選挙での争点ぼかしの布石なるか突然脱原発を首相言い出す
1433何事もなかつたやうにはや秋と朝けの空に気配立つなり
1434百日紅散つてやまない花さへもいつか散りやむいつか散りやめ
1435花筏めいて灯篭流れけり六十七年のちの夏逝く
1436避難したあの子の好きなわらべ歌口ずさみながら 声つまる淋しき夏の夕暮れ
1437私はキエフに残されたロボットの目ただ人のくづれ行くをみる
1438「人の子の地震(なゐ)に勝る」と拝みをり科学と呼べる叢(むら)の社を
1439うつろなる視界に流れる人々のさざめき変わらず竈開き後も
1440置き去りにされた吾子の玩具を見ながら今日もまたひとり飯を食む
1441夜ひそか鈴虫ひとりなきにけり戻らぬものをかなわぬものを
1442〈涼〉を京より届けたり歌とともに〈腐れる熱〉が冷めぬ者らに
1443とく逃げよ果てなき彼方妖怪(あやかし)の妖気届かぬ清らの結界(くに)へ(注:子供たちの疎開を願って)