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河津聖恵のブログ 「詩空間」

この世界が輝きわたる詩のプリズムを探しつづける。

日本の詩祭2010

日本の詩祭2010

昨日、日本現代詩人会の「日本の詩祭」に行って来ました。創立60周年記念ということで、参加者の数も例年になく多かったようです。記念プログラムとして、1960年代から2000年代までのH氏賞受賞詩人の中から、各年代2名ずつ、計10名の朗読もあり、2003年に受賞した私も、ラストから二番目に朗読しました。石川逸子さんから相沢正一郎さんまで、受賞詩集からと他から各一篇、計二篇ずつの朗読でしたが、内容は勿論、みずからの代表作の言葉と向き合う声のあり方は、その人自身の「詩とは何か」を、滲ませて来るようでしたし、それぞれが詩人として生きることを決意した時代がいかなるものであったかが、耳を傾けるこちらにおのずと伝わって来ました。恐らく詩とは、声なのですね。その人だけでなく、その時その人の言葉の誕生に関わった、すべての人々の声なき声を、今ここの現実へと紡ぐことなのです。 また会の始めの方では、H氏賞という名前の誕生秘話も語られました。プロレタリア詩人でもあった創設者の平澤氏が、朝鮮戦争時のレッドパージを懸念しイニシャルになさったとのこと。イニシャルのHは、時代の闇との折り合いというより、闇に小さな詩の光を点そうとした、詩人のひそやかな意志表示だったのですね。