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河津聖恵のブログ 「詩空間」

この世界が輝きわたる詩のプリズムを探しつづける。

4日韓国・鎮海(チネ)で行われたキム・ダルジン文学祭で朗読しました

昨日、韓国から戻ってきました。
朗読会、交流会などを中心に、様々な出会いに満ちた日々を過ごしました。Image1490

4日には、鎮海(チネ)で、キム・ダルジン文学祭が行われ
そこで私も朗読をしました。

前日3日には、韓国の詩人たちによる討論会と、ユン・ドンジュの親戚でもあるユン・ヒョンジュさんによるコンサートや交流会がありました。

4日の朗読会の会場は国民的詩人キム・ダルジンの生家。Image1509
九時半頃に到着すると
とても美しい佇まいの伝統家屋の中にある庭に、素敵な設営がされていました。

十時、朗読会が開始されました。
秋の明るい光の下、どこか永遠を思わせるぽっかりとひらいた壷中天のような空間で、
フランス、中国、韓国の受賞詩人を皮切りに、
モンゴルと日本から招かれた招待詩人の一人として、
私も「アリア、この夜の裸体のために」を朗読しました。
日本詩人のもう一人は、福岡の田島安江さんでした。

朗読の前に、挨拶をかねて少し自己紹介をしました。
「アリア・・・」がどのような詩であるのか、
そして自分が今どういう詩的境地にあるのか、Image1504 
ユン・ドンジュの詩を書いたことがそもそものきっかけで
朝鮮学校の高校無償化除外の活動に関わるようになったことも含め
短い時間でしたが、思う存分語らせてもらいました。

そして朗読。
BGMに、艶やかな夜の時間を象徴するジャズを流してもらい
詩が生まれた遠い記憶の時間をたぐるようにして
少し感慨深い気持で声を放ちました。
異国の人々に、自分の日本語がどのように聞こえたのかはわかりません(ある観客の方にはとても印象深かったといってもらいました)。
しかし異国だからこそ一語一語の自分の日本語はとてもいとおしく
生まれたてのように口をついて
私の外へ外へと出ていきました。

ときおり朗読のあいまに蝉が樹上から鳴きしきりました。
日本の蝉とは違う、もっとこもった、一斉に滝のように降ってくる不思議な音程と音量。
青い柿も、青い硬い音を立て、ふと何かを告げるように地面に落ちてきて。

声と音と光と影が、ふっと現出させた小さな永遠──。
まさに詩のような、とても美しい朗読会でした。