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河津聖恵のブログ 「詩空間」

この世界が輝きわたる詩のプリズムを探しつづける。

大阪府による大阪朝鮮学園に対する補助金停止について

3月19日大阪府は、今年度分の朝鮮学校に対する補助金を全面停止すると報道各社が伝えました。

●「朝鮮学校補助金支給せず 大阪府、生徒の礼賛訪朝で」産経新聞
  http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120319-00000079-san-soci
●「朝鮮学校補助金大阪府、支給せず 生徒の訪朝理由に」毎日新聞
 http://mainichi.jp/select/wadai/news/20120319mog00m040015000c.html
●「朝鮮学校補助金、11年度分を見送り 大阪府日本経済新聞
http://www.nikkei.com/news/latest/article/g=96958A9C93819695E3EBE2E69D8DE3EBE2E1E0E2E3E0E2E2E2E2E2E2
●「「総連と一線」疑問、朝鮮学校補助金支給せず」読売新聞
 http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120319-OYT1T00785.htm
●「朝鮮学校補助見送り 大阪府方針「総連と一線未確認」」朝日新聞
http://www.asahi.com/politics/update/0319/OSK201203190108.html

これらの報道を受け、大阪朝鮮学園はその日のうちに正式コメントを発表し、報道各社に伝えましたが、ほとんど触れられることはなかったようです。大阪府はあたかも補助金打ち切りの責任が、朝鮮学園側にあるようなことを報道に流していますが、以下のコメントにもあるように、決してそうではないことが分かります。19日の補助金停止決定も、恐らく事前に伝えられることがなかったのでしょう。文面からは驚きと怒りが伝わってきます。

支給停止の主体は「大阪府の民意」でしょうか。私には決してそうは思えません。橋下維新が台頭するまでは、長らく府は大阪朝鮮学園に対し補助金を支給してきたわけです。そのことを通して地域社会と学校の関係は良好な発展をしてきたわけですし、その関係を築くために多くの人々が年月をかけ、大変な努力をしてきたわけです。

それを一瞬にして打ち砕くという権利と資格を、橋下維新は、全く有していないと思います。以前、維新の会の議員と電話で話しましたが、その時、高校無償化から除外された経緯も、朝鮮学校の歴史も、ほぼ何も知らないということに唖然としました。しかしただ、「肖像画があるだろう、だから補助金はやらないよ」の一点張りでした。

「総連と一線を画せ」という恫喝は、じつは大変恐ろしいものです。その「一線」という曖昧なカテゴリーには、何でも入ってきます。その何でもありの記号の意図には、結局は「朝鮮学校を閉鎖しろ」という底意があることは明らかです。かつて朝鮮戦争前、当時の文部省は「民族教育が行われている」、「管理や教員が朝鮮人である」などとして、朝鮮学校にあらゆる行政弾圧を加えました。それは朝鮮戦争への布石でした。今回の橋下維新のやりくちはまさにその狂った歴史の轍を踏もうとしています。君が代条例や教育条例も含めて、大阪維新の会という集団は、戦争を待望していることがはっきりしてきています。戦争になれば簡単に経済は復興でき、また非常事態にみずからの権力は絶対的なものとなるのですから。
 
さらには2009年末に予算案に組み込んでいたにもかかわらず、二年にわたって高校無償化法適用の不作為をおこなっている政府もまた、早く「ミサイル」を迎撃し、収束できない原発事故を一瞬で戦火にすりかえてしまいたいとさえ企んでいるのではないでしょうか。

朝鮮学校への弾圧が、結局は、すべての日本の市井の人々への弾圧にもつながることは明らかです。朝鮮学校を誹謗中傷するいわゆる焼け野原願望の人間たちも、いずれはみずからが被害を被るのです。もはや誰もが無縁ではないのです。

以下朝鮮学園コメント(3月19日付け)

一部の報道によると、「大阪府は19日、府内で朝鮮初中級学校を運営する『大阪朝鮮学園』に対し、今年度の運営補助金約8100万円(8校分)を支給しないことを決めた。」と伝えられた。

その理由として大阪府は、学園が説明義務を誠実に果たしていないとしているようだが、学園は担当部局を通じて説明責任を十分果たしてきたし、できる限り誠実な対応を行ってきた。

そもそも学園は、大阪府が提起した「4要件」に沿った「ガバナンスの基本方針」を昨年3月に明らかにし、大阪府もその事を認め2010年度分の補助金を交付した。

にもかかわらず今回大阪府が、説明不足、対応不誠実などと責任を一方的に学園側に転嫁する形で、補助金交付を停止するのは極めて政治的な意図を持った動きとして厳しく非難されるべきであり、民族教育に対する明確な政治干渉であると言わざるを得ない。

また、大阪府が一部の新聞報道などを根拠に、学園に対して「あら捜し」のごとく詳細な説明や文書提出などを執拗に求めること、特定の報道機関や政治家の思惑に振り回されて、朝鮮学園のみに過度な要求をすること自体が、学園の自主性を踏みにじる由々しき事であり、甚だ遺憾なことである。

よって大阪朝鮮学園は、民族教育に対するこれ以上の不当な干渉を受け入れることは出来ないことを明言するとともに、今後大阪府が行政機関としての公明正大、且つ公平な態度で交渉に取り組むことを切に望むものである。

                        2012年3月19日 
                     学校法人大阪朝鮮学園理事会