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河津聖恵のブログ 「詩空間」

この世界が輝きわたる詩のプリズムを探しつづける。

本日付東京新聞朝刊社説「朝鮮学校無償化 教育の機会をゆがめるな」

社説 朝鮮学校無償化 教育の機会をゆがめるな
 
 北朝鮮が韓国を砲撃してから朝鮮高級学校の授業料無償化の手続きが止まっている。若い世代の教育支援は政治や外交とは次元が異なる。責任のない在日朝鮮人の子どもたちをいじめてどうする。

 東京都内の朝鮮学校を運営している学校法人が行政不服審査法に基づき、文部科学省に異議を申し立てている。子どもたちの授業料無償化の審査手続きを中断しているのはおかしいとの言い分だ。

 法律によれば、文科省は手続きを再開するのか否か態度をはっきりさせなくてはならない。再開しないとなれば理由を説明する必要に迫られる。二月六日がその期限だという。

 北朝鮮が韓国の延坪島を砲撃したのは昨年十一月だ。朝鮮半島の緊迫化を受けて菅直人首相は無償化手続きを停止するよう指示した。全国の高級学校が出した申請が二カ月余りも宙に浮いている。

 このままだと三月に巣立つ三年生は就学支援金のメリットが得られない。学校関係者が「子どもたちの心に深い傷が残るだろう」と心配するのも無理はない。

 子どもの学びは政治や外交と切り分けて社会全体で支える。民主党政権はそんな考えに立ち、外国人学校への無償化適用を決めたはずだ。菅首相の指示はそれをほごにする外交判断そのものだろう。

 平和を脅かす祖国の蛮行に、日本で生まれ育ち、生きていく朝鮮学校の子どもたちの責任はない。そんな彼らの教育の機会を人質に取るような民主党政権の仕打ちこそ筋違いだろう。菅首相はすぐに指示を撤回すべきだ。

 文科省は無償化適用の審査では教育内容を判断材料にせず、懸念があれば自主的な改善を促すことにとどめるとした。政治や外交が教育から距離を置くという原則をしっかりと貫いてもらいたい。

 朝鮮学校大韓航空機爆破事件や拉致問題をめぐり批判のある教科書の記述を検討し直すという。無償化を契機に朝鮮学校と日本社会は距離を縮め合い、教える内容や子どもたちの交流を深めたい。

 全国高校ラグビー大会で三位に輝いた大阪朝鮮高校にはほほ笑ましい後日談がある。

 試合中のけがで途中から欠場した三年生のエース権裕人選手のために、優勝した神奈川県の桐蔭学園高校はじめライバル校の選手たちがチームをつくり、大阪朝鮮高校と親善試合をした。

 若い世代にはすでに日朝の壁はない。教育現場でも国境を乗り越える努力を惜しみたくない。