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河津聖恵のブログ 「詩空間」

この世界が輝きわたる詩のプリズムを探しつづける。

『環』50号/「きれいなたましひの舟─金子みすゞ」(連載「詩獣たち」第七回)

『環』50号(藤原書店)に、連載「詩獣たち」第七回、「きれいなたましひの舟─金子みすゞKan_2
を書いています。
 この連載ではすぐれた詩人を「詩獣」と呼びとりあげています。
「詩獣」という定義は、「危機を感知し、乗り越えるために根源的な共鳴(うた)の次元で他者を求め、新たな共同性の匂いを嗅ぎ分ける獣」、「その『獣性』を顕現し、人間の自由の可能性を身を挺して指し示す者」(第一回)ということです。
 それぞれの詩獣のとらえた危機意識とは何か、そしてそこから歌なきうたによって指し示されている新たな共同性の可能性とはどのようなものか、を考察しています。
 今回は、金子みすゞを取り上げました。
 根源的な「さびしさ」をたたえた「内面の海」を、詩という舟に乗り、うたのリズムのまにまに、不思議な空虚の方へと揺られていった詩獣です。
 まさに「きれいなたましひの舟」そのもののです。
 舟は二十六才で乗り捨てられましたが、それは今も揺らぎ、
「誰しもの胸にうたの水紋を拡げてやまない」のです。