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河津聖恵のブログ 「詩空間」

この世界が輝きわたる詩のプリズムを探しつづける。

勝利を祈って

昨年11月
砲撃戦によって朝鮮学校の無償化手続きが凍結され、
そして今年2月に再凍結という酷薄な事態となってからおよそ二ヶ月。
その間もこの問題に関して朗読会を何度も行い
ハッキョの卒業式が迫る中
時間が目にみえない導火線のように経過していくのを
痛感しました。

何ができるのだろうか、何をやっても無駄ではないか。
しかしそう思えるほどどれだけのことをやったというのか。
よくがんばった、これでいいなんて
自分をほめる権利が誰にあるのか。
まだ私も何も知らないのだから。
知らなかったり、感じ取れなかったりすることが氷山のようにあるのだから。
心はたやすく揺れます。

しかしかつての自分であれば
そんな風に自分でも思いがけないほど誠実に
自分を見つめられなかったと思います。
すべては朝鮮学校のおかげなのです。
もういつどこでか思い出せないある日ある時
個別の誰彼という次元を超え
私のかたわらを優しい風のように笑って駆けていった朝鮮学校の生徒たち。
子供へのいとおしさで花のようにうちふるえていた先生たち。
魂そのもののような彼らの存在が
私の中にあった一抹の善を育ててくれたのでしょう。
本当に感謝です。

じつは今、私は選挙戦に参戦しています。
まったく不得手で似合いもしないことですが
たしかな未来のための小さな風を起こしている実感がほしくて
(とりわけ震災と原発事故のあとは)
朝鮮学校生の大学入試資格問題から政治の道をめざしたという
心優しき青年を応援しています。
その名を日々車の中から連呼しています。

一昨年末の京都の初級学校への襲撃事件の抗議集会の司会をしていた姿をみて
一瞬、ユン・ドンジュではないか、と錯覚したのでした。
この人がたしかにトンジュの魂の何かを分かちもつことを
私はその時直観したのです。
(あとできいたら
不思議なことに、彼が大学に入って初めて住んだのは
ユン・ドンジュの下宿先の跡に建てられたアパートだったということです。)
それからしばらくたった昨春、『朝鮮学校無償化除外反対アンソロジー』を
文科省に届けるために尽力してもらいました。

毎日、街ゆく人に語り掛ける若い彼のまなざしに
私はこれまで会ったすべての朝鮮学校生のまなざしを感じるのです。
朝鮮学校のためにもかならず勝ってほしいと祈ります。