※全行程はHP(http://reliance.blog.eonet.jp/default/shikukan.html)にて御覧いただけます。
1533蝶の羽傷つけられし子らの目がじっと息を潜めた悪魔を凝視するかな
1534正義など存在せぬが考えて歩む間にやや近づける
1535心待ち揺れる想いの時待ちて愛新しい八月の朝
1536喉元をそっとさわりて確かめる蝶の羽をもがれぬように (注:甲状腺は喉仏の下辺りにあり、蝶が両方の羽を広げたような形をしています)
1537蝉しぐれひとの心の闇に潜む深い森を我もまた歩きしか
1538街も故郷(ふるさと)の野も原発事故という名前の墓場となりて
1539二回目の夏のひとりの野辺参り手をにぎりしめ くちびるかんで(1520「あいつらもこいつらもまだ生きている母亡くなりて天命を怨む」へ返歌)
1540一億が流浪の民となるときの雲散霧消友と憂ふる
1541いずれ滅ぶ人の世のまづ先陣をきるなら残せ美しきもの(1540へ返歌)
1542沈没をせずとも日本沈没す原発の灯の荒ぶりたれば(1540へ返歌)
1543世界よりつきつけらるる補償にも俊一たてるか我らが政府よ(注:お願いだから安全宣言なんかしないで欲しい)
1544人麿の後嗣言祝ぐしるしやはかくふらずとも見るはかなわじ(1504「あかねさすむらさきのにもしめのにもだれにもみえぬかくのちりふる」へ返歌)
1545非常時に持ち出すものを選ぶ目でおのが身内(みぬち)の声を見直す
1546お囃子に重なる路地の蝉の声今日ひとときは眉根のばして