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詩空間

河津聖恵のブログ。この世界が輝きわたる詩のプリズムを探しつづける。

中国吉林省・延辺朝鮮族自治州をめぐって�A8月20日

北京から延吉までは国内線で約二時間。Imgp0357

着いたのは現地時間で夜の10時過ぎでした。
降り立ち空港の荷物受け取り場へ行くと、照明がどことなく暗い。
そして不思議に懐かしい古いコンクリートの室内は
遠い過去の記憶がまさぐられるような匂いがしました。

かつての小学校の教室や廊下はこんな匂いがしたなあというような匂い。
人の生活そのものが放つ匂い。
そう、子供の頃の昭和の匂いがしていたんです。

荷物がベルトコンベヤーで流れてくるのを待つ人々の表情や服装も
まったく気取りがなくて
異国に来た緊張感はいつしかほぐれていきました。

やがて今回の旅で色々一行のお世話をして下さる
小説家の方龍珠(バンリョンジュ)先生と
詩人たちを各地へ連れて行ってくれる運転手役を買って出てくれた
林虎(リムホ)さんがやってきました。
林さんは滞在するホテルの副支配人です。

空港から市内へ向かう車内では056
鮮やかでありつつしっとりとした電飾の美しさに目を奪われていました。
華やかでありながら静かな
美しく輝きながらどこか闇を意識させる
不思議な夢の中のような光景…
(とりわけ私は夜のネオンサインには蛾のように弱いのです…)

あちこちの公共の建物の入り口には
延辺朝鮮族自治州成立60周年」という赤いテロップが、繰り返し流れていました。
今年9月でこの自治州は成立して60年ということです。
同州の政治と経済の中心都市である延吉には
祝賀ムードがあふれていました。
方々で道路や建物が改修中で、槌音が響きわたっていました。
この電飾の華やかさも祝祭を意識したものなのでしょう。

延辺朝鮮族自治州の成立の歴史は次のようです。
中華人民共和国成立後、
1949年に吉林省延辺専区が設けられ
1952年に「延辺朝鮮族自治区」となり
1955年には「延辺朝鮮族自治州」となりました。
今年の60周年は1952年の自治区の成立を祝うものです。
戦前は清国とその後日本帝国が1931年に建てた旧満州国の支配も受けています。
その複雑な歴史はこの地に大きな苦しみを与えました。
その苦難の大きさは
1917年この地(明東村)に生まれた詩人、
尹東柱(ユン・ドンヂュ)の生涯を辿ってみてもその一端が見えてきます。
それは追々書いていくことにします。
(そもそもこの旅は彼の墓参をハイライトと考えていました。)

ホテルに着くとちょっとした手続き上の行き違いがあり
もしかしたら宿がえするかなあという話にも。
初めての国でやや不安をかき立てられながらも
ツインを独り占めした部屋で
旅の疲れに埋もれるようにいつしか眠り込んでいました。