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河津聖恵のブログ 「詩空間」

この世界が輝きわたる詩のプリズムを探しつづける。

今年最後の詩

先日、友人といっしょに、まるで鏡のように美しい池の前に佇みました。
来年こそは、この池の眸のような、澄んだまなざしに見つめられて恥じない一年でありたい。

鏡池
                        河津聖恵            

池は今 澄みわたる眸となり
もう一つの冬を底深く見つめだすImage1094
庭園のベンチに並んで腰をおろし
きれいねえ 声を思わず合わせた
二人の眼差しはそのまま
凜と木々を映す水面に吸い込まれる
この美しさは
世界の沈黙に煌めく涙の光 あるいは
まばたき一つで 
消えてしまう流れ星の迅さ
奇跡的に反射も翳りもない水の
緑と青に夢のように呼ばれた私たちは
冷たく響く鳥の声の「永遠」に
肩をよせあい黙りはじめる
あと少しで鏡は薄闇に溶け
夜が訪れるはず 
空は魂を掠め 落ちてくるのか
私達の間にも闇が生まれ
不信と孤独の青白い鬼火が
ちらちらもえ出るだろうか けれど
きれいねえ
今 共に見つめる鏡の揺るぎなさに
眼差しは
さらに高く時を越えていくもう一つの冬を追い
未来へと確かに暮れ残る