「人には未来などない、人にあるのは希望だけだ」
哲学者イヴァン・イリイチが言った言葉です。
篤い信仰を持ったイリイチだったがゆえに
世界の絶望の深さもまざまざと見えてしまったのでしょう。
彼はまた
「最善のものの堕落は最悪である」とも言いました。
求めていたものの高さが高いほど
落下は深く、堕落はとめどないということです。
その絶望を、彼は「悪霊的な夜」とも呼びました。
イリイチの言う「高さ」や「最善」とは
キリスト教の信仰のことでしたが
それを「科学信仰」や「日常への根拠なき信憑」に置きかえてみれば
私たちを今打ちのめしているものもみえてくるのではないでしょうか。
これまで永遠のように続くと信じてきたものからハシゴを外され
真っ逆さまに落ち込んだ
「悪霊」的な深い闇。
しかしここで溺れてはならないはずです。
一人一人がみずからの中から人間の本来の連帯の力を取り戻し
つながりあい
早く、世界の電源を回復しなくては。
パンドラの箱の底に残った希望の未知の力で。
遠い被災地で、明日、居住地から脱出する人に光あらんことを!