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河津聖恵のブログ 「詩空間」

この世界が輝きわたる詩のプリズムを探しつづける。

「ジャンヌ・マリーの手」アルチュール・ランボー

先ほどアップした「シモーヌの手」は
じつはアルチュール・ランボーの「ジャンヌ・マリーの手」という詩を
それに比すべくもなく換骨奪胎した拙作でした。

とにかく「ジャンヌ・マリーの手」は素晴らしいんですよ!
以下冒頭二連です(村上菊一郎訳)。

ジャンヌ・マリーの手は頑丈だ、
夏が鞣したくすんだ手、
死人のやうに青ざめた手。
──こんなのを妖女(ジュアナ)の手とでもいふのかな?

愛慾の沼に浮かびただよふ
褐色のクリーム?んだ手か?
水清らかな池の面の
月光のなかに浸った手か?

・・・というように労働者の女性の手の力強さ、生命力を
本当に魅惑的な比喩やイメージをきらめかせ駆使して、表現していきます。
四行を一連とする長編詩です。
以下は私が一番好きな二連。

これこそ背骨をぐいと曲げる手だ、
しかし痛くはしない手だ、
機械などより的確で
馬一頭より強い手だ!

坩堝のやうにたぎり立ち、
わなわな顫へて、この手の肉は
讃美歌(エレーゾン)など断じて唱へず
マルセイエーズを歌ふのだ!