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河津聖恵のブログ 「詩空間」

この世界が輝きわたる詩のプリズムを探しつづける。

6月28日講演「「チェルノブイリ−フクシマ〜ドイツの経験から学ぶ〜」

6月28日(木)にキャンパスプラザ京都
チェルノブイリ−フクシマ〜ドイツの経験から学ぶ〜」Naibu
という講演会が行われました。
市民と科学者の内部被曝問題研究会と、核戦争防止国際医師会議京都府支部の共催です。

「市民と科学者の内部被曝問題研究会」には、
昨年読んで大変啓発された『見えない恐怖─放射線内部被曝』(旬報社)の著者である
松井英介さんがいらっしゃいます。
当日は司会と基調講演をなさっていました。

私は何しろ科学の苦手意識が強く、
講演の記憶もかなり途切れています。
それで詳しく語る自信がないので
大まかな内容だけを記しておきます。
(間違いがあるかもしれません・・・))

最初の講演は、津田敏秀氏(環境疫学・岡山大学)の
「ICRP2007年勧告の100msv問題と原発事故と健康障害に関する疫学調査」。

ICRP(国際放射線防御委員会)の2007年勧告が、
100msv以下の被曝レベルでは
がんのリスクを直接観察できないような記載がされている。
これが昨年4月の文科省による
「100msv以下ではガンなどの増加は認められていない」という見解の根拠になったそうです。
その後、様々な学会で同様の見解が出されていきます。

しかしもちろん100msvでパッと癌の発生が消えるなんてことはありえません。
そんな単純な間違いは日本でだけ起こっているとのことです。
なぜそんなことがまかり通るかといえば、
日本は統計学者や疫学者が少ないからです。
癌の発生と放射線の影響について
とにかくちゃんと調べていないのです。
私もたしかに噂では原発の近くでは癌が多いとはきいたことがありま
すが、日本ではきちんとした疫学調査がされていないのです。
(ただ一つだけ論文はあるそうです)
それに対し、ドイツには癌の登記所というものがあるので、
きちんとした疫学調査が出来るそうです。

次にそのドイツからの報告として
インゲ・シュミッツ−フォイヤハーケ氏(物理学・元ブレーメン大学)と
セバスチャン・プフルークバイル氏(物理学・ドイツ放射線防護協会)が講演をしました。
フォイヤハーケ氏は旧西独出身、
プフルークバイル氏は旧東独出身。
個性の違う二人の講演はとても興味深かったです。

とりわけプフルークバイル氏の
原発通常運転における健康被害−ドイツ−」は驚きでした。
原発は通常運転でも圧力容器の蓋を開ける時に、大量の放射能を出すのです。
長年放置されてきたこの健康被害の問題は、
赤緑連合政府(ドイツ社会民主党と同盟90/緑の党の連立政権。1998年〜2005年)にきちんとした調査をするという議決をして、
初めて行われました。
その結果、50km圏内でも有意に癌の発症率が高いと分かったそうです。
もちろん原発に近ければ近いほど発症率は高くなります。
その説明はこまかかったので私はうまく説明できませんが、
政府が依頼した調査員には原発推進派もいて、客観的な調査だったようです。

以上が大変大まかな内容です。
このような講演会は、これからも定期的に開催してくれるそうで
ありがたいです。

ところで昨日、とうとう大飯原発が再稼働してしまいました。
深い失望を覚えましたが、
もちろん原発のない社会を諦めるわけにはいきません。
長い戦いが始まったのだと心しています。
市民の側に立ったこうした科学者たちに私たちが学び、
子供たちとみずからの生命を守るための知恵を少しずつ深めていけることを
願ってやみません。