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河津聖恵のブログ 「詩空間」

この世界が輝きわたる詩のプリズムを探しつづける。

詩「炎色反応」(「詩人会議」2月号)

炎色反応Shijinkaigi
                                                  河津聖恵

問いかけになりたい
問いかける者ではなく、問いかけそのものに──
いつからか私はそう願っていた
宇宙の片隅で 不思議な鼓動につき動かされ
身も心も蝋燭のように溶かして
たった一つの光の疑問符となることを

四方から今 闇はかつてない深さで迫る
だが闇の深さに
自分の真実の姿がくっきりと輝き出す
散逸していた私の火が戻ってくる
いのちの芯へ芯へと
問いかけの光を放つことを促される

光は燃える闇の深さによって色を変える
��私はどこから来たか�≠ヘ黄色く燃え立ち
ふと現れる水の匂いの指が
寂しい夢の海を指し示すだろう
��どこへ行くのか�≠ヘうすみどりに震え
幼な子のつぶらな眸の奥で
世界の外の木々がざわめくだろう
��私は何者か�≠ヘ闇を薔薇色に染め
ひとを愛する一瞬
差し出されるまなざしが美しい答えとなる

燃えるごとに闇は深まる
最後に拡がり出す漆黒は きっと
生者の絶叫を音もなく吸いこむ巨大な鼓膜
あるいは無数の死者を悲しむ盲目
そこを照らすには 一人では足りない
未知の色で燃える問いかけとしての
どこかにいるあなた という光が欲しい
もとめてははぐれ はぐれては探し
やがてついに小さな星座を作って
��私たちは何者か──�≠ニ燃えていくことが