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河津聖恵のブログ 「詩空間」

この世界が輝きわたる詩のプリズムを探しつづける。

朝鮮学校無償化除外はあってはならないこと

私たちがアンソロジーを出したのは、
「うたびと」として
言葉の暴力と他者憎悪がまかりとおるという現状を何とかしたい
ということがまずありました。

そして
教育や人権という「理念」が
政治的思惑や差別意識という「利害」にまみれる
ことを
危惧したからでもありました。

4月20日に24名によるリーフレットを提出しましたが
あれから事態が一向に改善されず、むしろ風化していることを感じ
今回、79名の詩人・歌人俳人によるアンソロジーを出したわけです。

これだけ大勢の「うたびと」たちが参加した事実は
この学校の除外問題を
政治家や右翼的な人々が
自分の利害のために利用しようとしていることに
79名が詩人として人間として危機感を切実に感じているあかしです。

私たちがつよく訴えたいのは
そもそもこの問題は右派的な人々が世間にかきたてつづける
言葉の暴力
から引き起こされたものであること

その結果これは人間の魂の問題
つまりこの社会の未来の問題だということです。

今朝新聞で、大阪の知事と学者が
ふたたび朝鮮学校の問題を北朝鮮バッシングの次元へ持ち込もうとしている
ことを読みました。
社会的影響力が絶大な人々が
バッシングをあおる発言をすることは
決して許されるものではありません。

私たちは文科省の結論を注視しています。
政治的な利害と思惑によるバッシングが正当化されるか、
それとも教育という中立的で無償な理念が貫かれるか

教育と政治、
子供の未来を何よりも優先するという社会のあるべき理念と、
大人たちの政治的な思惑の
どちらを選ぶのか?

後者を選ぶならば影響は甚大です。
教育という最も人間の平等や権利や理想が貫かれるべき場所さえもが
朝鮮人ならば差別していい、北朝鮮バッシングならば持ち込んでいいという
理不尽な二重基準がまかりとおることになります。

「子どもたちのために」と大人たちは口では言いながらも現実的な利害を優先する
という二重基準こそは子供たちの精神に深いダメージを与えます。
朝鮮学校の子供だけでなく日本の子供にもまた。
大人たちが子供たちにもっとも見せてはいけないものが
「社会には二重基準があってもいい」
といういわば「現実的な」という
おのれの怠惰で理不尽な姿ではないでしょうか?

ベイトソンという学者は子供に対する「ダブルバインド」(=二重基準)が
深刻な心の病を引き起こすと言っています)

日本社会に生きる日朝の子供たちの間に分断を持ち込むことは、
日本の社会の未来に分断を持ち込むことです。
世間の注視の中、
教育が政治に屈した姿を見せることは、
社会のモラルに取り返しのつかない劣化をもたらすはずです。

朝鮮学校無償化除外は
「今を共によりよく生きる」
という社会共同体の本来の理念のためにも
決してあってはならないのです。