#title a:before { content: url("http://www.hatena.ne.jp/users/{shikukan}/profile.gif"); }

河津聖恵のブログ 「詩空間」

この世界が輝きわたる詩のプリズムを探しつづける。

4月22日のイベント(1):「にじいろクレヨン」報告会

少し前のことになりますがKure 4月22日(日)に参加したイベント二つについて。

午前中は、
昨年夏にもこのブログで記事にした
宮城県石巻を拠点に、仮設住宅の子どもたちのために活動する
NPO法人「にじいろクレヨン」の代表柴田滋紀さんの報告を聴きに行きました。
場所は、京都・二条にある絵本のお店「きんだあらんど」。
「きんだあらんど」は「にじいろクレヨン」に読み聞かせ活動のための絵本を
選択し、定期的に送っています。
出資者は60名ほどいるそうですが、私も昨夏からその一人です。

「にじいろクレヨン」は忍耐強く定期的に
この一年絵本のよみきかせ、一緒に遊び、話をきくという活動を続けてきました。
その成果あって、子供達は当初の孤独と不安から解放されつつあるそうです。

「きんだあらんど」の店長の蓮岡さんによれば
そもそも絵本を読むこととは読む人の全てがそこに受容されることだそうです。
信頼する人(とりわけ親)が絵本を読むことは重要とのことです。
どの子にどの絵本が今必要なのかを見極めるのが
絵本を扱う専門家である「きんだあらんど」の役割です。

柴田さんによれば石巻仮設住宅の問題点は、
入居が地区ごとではなく先着順だったということ。
だから共同性がいまだなかなか生まれにくいそうです。
時には子どもたちの遊ぶ声を疎ましく思う人もいる。
だから活動の際には近隣の人々を気遣い、話を聞くことも必要になります。
また仮設と被害を免れた周囲の家々とは没交渉になりがちで、
そこも時にはみずから訪れ繋がなくてはならない場合もある。
大変な仕事です。

震災後の子供が描いた
真っ黒な手形だらけの絵には本当に胸が痛みました(親を亡くした子も、当初親とはぐれて心に傷を負った子もいます)。
しかし色と、絵の具に触れることには、大きな癒やしの効果があると柴田さんは言います。次第に絵が明るくなっていったそうです。
もちろん、PTSDはこれから現れる可能性が。
震災後二年経つと自殺が増えてきたという阪神大震災の時のデータを見ても心配だ、と。

この読み聞かせの支援をまずは10年続ける、と柴田さんは言いました。
それから何年はこれこれ、そしてその次は・・と。
目標は「挨拶が出来て、身の回りのことを自分で出来ること」。
そしていつか「何かの役に立てる人間になればいい」と。
みずからも被災者である柴田さんは
真剣に子どもたちと向き合い、子どもたちの未来に対しきちんと責任を背負おうとしていると実感しました。

関西に住んでいると、今ではかなり意識的にならなければ見えなくなりがちの
被災地の現状。
人々の、子どもたちの心。
だからこうしてささやかでも彼の地の支援活動に関わり、
時にはこんな風に現地での活動報告を聞く、ということを続けるだけでも
私にとってもとても大切な経験だと思っています。

ちなみに柴田さんは、5月下旬にこれまでの活動の全記録を執筆した本、
『にじいろクレヨンが描いた軌跡(仮)』を上梓されるとのことです。
今からとても楽しみです。