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河津聖恵のブログ 「詩空間」

この世界が輝きわたる詩のプリズムを探しつづける。

今度は日本人が守らなくてはなりません

創造は死闘
破壊は一瞬といいます。

日本社会の中で朝鮮学校をここまで存続させ
朝鮮人として日本で生きることの柱としての民族教育を
貫きとおせた在日朝鮮人の努力はすごいです。

しかし破壊は小さな隙間から
新聞記事のちいさな箇所からさえ
始まるかもしれません。

そんなことはあってはなりません。

今朝の報道によると、大阪府知事が発足させた作業部会は
教科書のいくつかの箇所を理由に
教育内容に踏み込み
大阪の朝鮮学校への補助金を打ち切ろうとしています。

しかしそのいくつかに私なりに反論したいと思います。

将軍様」と様をつけるのは
先生を「先生様」(ソンセンニム)というように
様(ニム)を付けただけのことでしょう。

大韓航空機事件については
私はよく知りませんが
破片一つ見つかっていない謎の事件で
日本でも様々な見解があるようです。
「様々に見解がある」と
教師が口頭で伝えればいいでしょう。

拉致問題について謝罪の記述がないといいますが
在日朝鮮人の多くが
日本の植民地支配によって
さまざまに強いられて日本に来た人々の子孫であること、
そして朝鮮学校
植民地主義の暴力に抗うものとして生まれた
という存在根拠からすれば、
一方的な日本側の恫喝に対して
学校側がむしろ単純に謝ってはいけない事柄のはずです。

私はそう理解しています。

もし改める必要があるならば
一つ一つ
日本人が理解をする努力をしながら
学校側と対話していき
納得してもらって変えてもらえばいいのです。

決してやってはいけないのは
日本側が力や金銭をふりかざし
一方的に恫喝して、教育内容を変えさせることです。

もしそんなことがまかりとおれば
ことは朝鮮学校だけにとどまらないでしょう。

思想・宗教・民族
さらにはそれを普遍化する文化という次元において
どんどん権力が「内容」に踏み込むことが行われていくはずです。

今回、教科書において
前後の文脈がなく
突出した箇所のみが
非難の的として新聞報道されるのはどうでしょうか。
こうした箇所だけを目にすれば
多くの人は
背景への理解も他者への斟酌もなく
面倒臭い問題をそこで切って捨てるように
いつしかどこかでバッシングに加担してしまわないでしょうか。
大阪府知事は絶大な権力を誇示し
マスコミを通して連呼します。
朝鮮学校北朝鮮工作員を養成する学校である」
そんな歴史的な認識のかけらもない誹謗中傷の空気を
世間に醸成していくなど
社会のトップに立った者が一番やってはいけないことです。

もちろん事実はまったく違います。

朝鮮学校
日本の敗戦直後から、
朝鮮人たちは全国の寺や民家で、
朝鮮語などを子供たちに教える教室を作ったことに始まります。
朝連(朝鮮総連の前身)は
自分たちの言葉を取り戻し、
植民地時代の皇民化教育を拭い去ることが、
真の解放につながると考えたからです。
教室を整備し、全国に500を越える学校を作っていきました。

植民地時代の日本の教育によって、
母国語を知らない世代が育っていたからです。
子供たちはそこで朝鮮語を初めて学びました。
カタカナで発音を振りながら。
教科書もみな手作りでした。
朝連は
子供に教えることから仕事を始めたのです。
戦前子供たちがあまりに日本の学校でいじめられ
戦争中から学校に行かなくなっていたから。
だから戦後朝連の組織が出来ると
子供たちがそこに集まってきました。
寺子屋のような朝鮮学校へ。

先生と子供たちが一緒になって、
総出で運動場を作りました。
子供たちは近くの川から砂利を運び
地ならしをしました。
親たちもがんばりました。
大人たちは
力がある者は力を、
お金がある者はお金を、
知恵のある者は知恵を、
を合い言葉に自力で教育の場を作っていったのです

日本で生きざるをえなくなった在日朝鮮人
必死で築き守ってきたウリハッキョ。
それを今度は日本人が守らなくてはなりません。