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河津聖恵のブログ 「詩空間」

この世界が輝きわたる詩のプリズムを探しつづける。

ガルシア・ロルカ「別れ」

ガルシア・ロルカのとても美しい詩を紹介します。

ご存知の方も多いかと思います。
1921年から24年に書かれた作品をまとめた『歌集(カンシオーネス)』に収められた詩です。
まるで1935年の詩人の虐殺を予感しているかのようです。
フランコ将軍の武装蜂起が始まったスペイン内乱の中で、ロルカは無実の罪で銃殺されます)
この詩の美しさは
詩人が殺される(それはすべての人間が危機に晒されることを意味します)
などということは決してあってはならない、許されないことを
すべての人に永遠に訴えているのです。
(資料館となっているグラナダの彼の家のバルコニーは、今も閉められないままだそうです)

別れ
                                      ガルシア・ロルカ(小海永二訳)

わたしが死んだら、
露台(バルコン)は開けたままにしておいて。

 子供がオレンジの実を食べる。
(露台(バルコン)から わたしはそれを見るのです。)

 刈り取り人が麦を刈る。
(露台(バルコン)から わたしはその音を聞くのです。)

 わたしが死んだら、
露台(バルコン)は開けたままにしておいて。