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河津聖恵のブログ 「詩空間」

この世界が輝きわたる詩のプリズムを探しつづける。

異様な人々

私は当時二三歳だった牟さんの外界に対する認識を聞き、日本と中国青年の精神の違いに感心する。彼は死と隣り合せの極限状況にありながら、外の状態に活き活きとした関心を向け、決して自閉化していない。『きけわだつみのこえ──日本戦没学生の手記』の青年のように、無意味な戦争と理解していながら、自分が戦死することによって母国が復興すればよい、といった内向した詭弁にすがりついていない。彼らはこの種の非論理を弁証法と信じ、およそ弁証法とは異なるものを有り難がった。「絶対矛盾の自己同一」とか「近代の超克」といった、弁証法心理学化に馴染んできた結果であった。(野田正彰『虜囚の記憶』)

自分の仲間への「適応」が何よりも先にあり
自分の心のあり方にしか関心をもたない、詩人たち。

現代詩というフィクションへの「過剰適応」の結果、
意味不明の詩作品しか生まれない「現在詩」(そこにはランボーのいう現代などありはしないから)。

あるいはリアリティへの逸脱による仲間はずれを怖れ
何事にもふれぬように
文体とエクリチュールに精一杯自分の空虚をふきこみ
空虚な自分をふくらませていく異様な人々。

かれらの目は異様な光をおびていきます。
自閉していく一方のその言葉が闇に埋もれていくにつれて。

あなたたちにとって朝鮮学校無償化除外反対とはなんだったのか?