#title a:before { content: url("http://www.hatena.ne.jp/users/{shikukan}/profile.gif"); }

河津聖恵のブログ 「詩空間」

この世界が輝きわたる詩のプリズムを探しつづける。

彼らの声を聴いて下さい1

 昨日の告知の通り、21日に、広島で、『朝鮮学校無償化除外反対アンソロジー』の朗読会を行います。広島という、はかり知れない人間の痛みを経験した土地で、しかも当事者である広島朝鮮学校という場所で、『アンソロジー』の作品を朗読できるとは、願ってもないことです。
 もう冬になろうとしています。日本の学校だけでなく、他の多くの外国人学校が高校無償化の対象になってすでに八ヶ月です。思い返せば、気の遠くなるような長い時間でした。その間、生徒も親もどれだけの心労を被ってきたことでしょう。そして今どれほど疲れ果て、悲しみ果てているでしょう。
 私たちに何が出来るのか分かりません。しかし言葉を声にすることは出来ます。そして声は必ず何事かを成すと信じています。
 広島朝鮮高級学校二年生と三年生の作品を紹介していきます。彼らの「声」を聴いて下さい。

    無題
                                                                    高二 李恵永
                                                                               
 いつまで
 いったいいつまで続くのだろうか
 100年前のあの日から
 一体何が変わったのだろうか

 知らなかった
 私たちに吹く向かい風が
 こんなにも冷たく、鋭く、痛いことを
 私は今日まで守られていたから

 やっと知った
 一世、二世が今まで流した
 血と涙の本当の意味を
 本当の訳を
 チマチョゴリに込められた思いを

 私も座っている訳にはいかない
 私はウリハッキョで学びたいから

   願い
                                                                    高二 金寿梨
 私たちの願いは一つ
 ハッキョで思いっきり学び
 トンムたちと楽しく過ごしたい
 この願いは届くのだろうか

 私たちの願いは一つ
 「チャビョル(差別)」なく学び
 トンムたちと明るく過ごしたい
 この願いは叶うのだろうか

   「何」
                                                                    高二 方春菜
                                                                               
 「私たちも同じ高校生です―。」
 「朝鮮学校の無償化にご協力お願いします―。」

 同級生たちがのどを枯らして叫ぶ声は
 いったいどこに届くのだろう

 無表情で冷たい氷のように過ぎていくこの人たちは
 なぜ分かろうとしてくれないのだろう

 私たちも母親のおなかから生まれて
 初めて立った日があって
 初めて自転車に乗れた日があって
 初めて友だちとケンカした日があって
 初めて人を好きになった日があって

 みんな同じなのに、
 どうして
  「同じなのか?」と
 悩まなきゃいけないんだろう。

   無題
                                                                   高二 権蓮伊
 
  無償化に期待し、
 無償化に裏切られ、
 無償化に泣き叫び、
 無償化に疑問を持つ

 無償化に喜べる日は来るのだろうか

  差別と偏見の壁
                                                                   高二 崔千玲

 私たちは生きている
 自分達の国の言葉を話し
 自分達の国の文字を書く
 自分達の国の民謡を習い
 自分達の国の文化を学ぶ

 当然のような事が
 何故反対されるのか
 私たちの存在を
 何故知らない人がいるのか
 私は疑問に思う

 民族自体を差別し、
 権利を与えないのは
 本当に正しいことなのか
 もっとおたがいの事を理解し
 歩み寄る事こそが
 正しい事ではないのだろうか

 文化や言葉のちがう人たちと仲良くする事は
 そんなに害のある悪いことなのか
 私はいつも疑問に思う

 次の世代に在るべきものは
 明るい未来
 そして
 差別や偏見のない
 平和な社会であることを
 私は心から願う