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河津聖恵のブログ 「詩空間」

この世界が輝きわたる詩のプリズムを探しつづける。

「ザ・コーヴ」がみたい

新聞に「ザ・コーヴ」上映中止という記事がありました。Image640
和歌山県太地町のイルカ漁を告発したドキュメンタリー映画だそうですが、
26日からの上映を予定していた一つの館が、中止を決めたそうです。
映画館や配給元に右翼団体から、脅迫や抗議があったから。
またしてもそういう暴力が、まかりとおってしまうなんて。
この映画は見ていませんが、芸術的・文化的な次元で評価されたもののはずで(アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞受賞)、そういう次元での発信に対し、恫喝や脅しをかけて屈服させるという構図は、もちろん許されるはずがありません。

ただそれとはまた別に、私はこの映画をずっと見たいと思っていました。
2月の熊野の朗読会の帰りに、太地に寄り、鯨博物館を見て、
私たちの国の鯨(あるいはイルカ)と人との関わりの歴史に、私なりに魅惑されていたからです。

鯨は、日本列島に流れる潮の流れと、その回遊の習性が適していたので、
古代から日本近海に多かった。
人々は鯨をエビスさんと呼びながら尊敬しながら
その体のすみからすみまで生きるために活用してきた。
その利用のために発達した船や道具の技術。
人々のむすびつき。
そして近代に入り、他国の進出や石油への燃料依存や国際関係の変動とともに、
捕鯨は大きく衰退していきました。
鯨の保護するために、国際捕鯨委員会も出来、
その一員となった日本は
生態系調査を目的とする調査捕鯨に切り替えて今にいたります・・

そんなこんなを、とても充実していた展示物の、骨格標本や様々な歴史的な道具や船や、太地の捕鯨の歴史を語る写真を見ながら、知らされ、
鯨博物館で二時間、なにか分からない不思議な刺激を受けていました。
恐らく、鯨という一つの動物に、じっくりとふれていたよろこびかもしれません。
鯨に関わった人々の思いにも、思いをはせると、詩が書けそうな気がしました。

だから私はもっと知りたいです。
映画は鯨ではなくイルカを扱っているようですが、
またイルカ漁に反対の立場らしいですが、
でもその立場から、どんなまなざしでイルカを見つめているのでしょうか。
食べてはいけないものとして神のように輝いているのでしょうか。
それともイルカは友人のように微笑んでいるのでしょうか。
そこにある思いはどのように私に訴えてくるだろうか・・・

私を取り巻くこの世界をふくらませるために、
その「関係」をも、私は知りたくてなりません。

写真は、鯨博物館で買った、鯨の歯から作ったペンダント。
鯨の歯は、人を守ってくれる力があるそうです