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河津聖恵のブログ 「詩空間」

この世界が輝きわたる詩のプリズムを探しつづける。

石川逸子「朝鮮高校への無償化除外はあってならないこと」

朝鮮高校への無償化除外はあってならないこと

                                        石川逸子
   今からちょうど百年前、日本は長く文化の恵みを受けてきた隣国の朝鮮を強制併合し、悪逆の限りを尽くしました。土地を奪い、言葉を奪い、名前を奪い、あまたの尊い命を奪いました。百年という節目、その負の歴史を深く考え、悔いるべき年に、あろうことか、高校無償化に当たり、朝鮮高校を除外しようとしているとは!
   当時の朝鮮の実態をつぶさに調査したナサニエル・ベファー(『チャイナプレス』 北京特派員)は、「朝鮮の真相」の中で、朝鮮総督府が日本語の普及を徹底し、朝鮮の歴史書を没収、焼却、「自国の歴史について学んだという犯罪を犯したため、笞刑を受け」ている朝鮮人と語り合ったと記しています。今、在日朝鮮人の子弟が、日本の学校では学べない母国の言葉、ハングル文字、歴史を学ぶのは、当然の権利でありましょう。日本に土地を奪われたゆえに故郷での暮らしが成り立たなくなって渡日せざるを得なかった方たち、あるいは文字通り力づくで連行された方々の三世、四世たちなのです。本来なら謝罪の心をこめて、何はおいても真っ先に無償化するべきではありませんか。
   ナグネ(旅人)、チンダルレ(つつじ)、ムル(水)、ヌン(雪)、サラン(愛)などなど、美しい言葉を子どものときから学ぶ権利にどうしてケチをつけるのでしょう。思えば文字・暦・仏教・紙・墨の製法、陶器の製造、印刷技術、詩文、そう、何から何まで隣国に学んできたというのに。
  そして、南北分断の悲劇は、米ソの対立が直接の原因といえ、日本による「併合」がなければ有り得なかったわけですから、せめて統一に向けて力を尽くすべきところ、一方をやみくもに敵視し、排除するとはとんでもないことです。
  (『朝鮮学校無償化除外反対アンソロジー』より)