2018-02-01から1ヶ月間の記事一覧
「政治と詩」というテーマは難しい。この国では残念ながら詩人たちにも政治への忌避感が根深いが、そもそも詩という個人的でよるべない言語芸術が、政治という集団的で巨大な問題と向き合うことは、容易ではない。 だが東日本大震災と原発事故は、詩が個人的…
思えば最近まで、戦争を描いた作品をあらためて手に取ることはなかった。子供の頃は戦争体験者の父が多くの戦記物を買ってくれたし、世間で戦争の記憶が風化しても、両親が亡くなるまでは彼らの存在がおのずと記憶を喚起した。だが彼らの死後、私は戦争を急…
白地にタイトルと名前だけを刻印したシンプルで美しい表紙。前後の見返しには著者の住む町なのか、郊外の濃青の夕暮れの写真が刷られている。どちらもこの歌集の内容を見事に象徴する。前者は集中の歌「立つものが全て時計になる真昼晴天(はれ)の雪野に青く…