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河津聖恵のブログ 「詩空間」

この世界が輝きわたる詩のプリズムを探しつづける。

HP「詩と絵の対話」を更新しました。

HP「詩と絵の対話」を更新しました。 URLは以下です。 https://www.shikukan.com 6月のゲストは、装丁家の田中淑恵さん。田中さんは豆本作家としても知られます。詩集も二冊出されています。 今回寄せて下さったのは、戦前国文学徒として将来を嘱望されなが…

2019年5月27日しんぶん赤旗文化面「詩壇」

今年の連休はテレビも新聞も改元一色だった。象徴天皇の退位と即位が戦後の一つの節目として話題になった、という以上の騒ぎだった。テレビに映る神を崇めるような人々の表情に不安を覚えた。象徴天皇制が国民主権と共にあることを知らないのだろうか。 『文…

HP「詩と絵の対話」更新しました。

お知らせです。 HP「詩と絵の対話 」を更新しました。ゲストはフィンランド在住のアーティスト清水研介さん。私は若冲連作詩(2)とその解説、「古賀春江の詩の海」(1)を書いています。ぜひご高覧下さい。 以下のURLです。 https://shikukan.com 本サイトでは…

2019年5月6月日付京都新聞文化面「詩歌の本棚/新刊評」

最近一九七〇年代の詩や詩論を読む機会がなぜか多い。六〇年代の政治の季節以後失われた連帯を、内面を突きつめることで模索した言わば「内向の時代」。代表的詩人として「プロレタリア系前衛派」の黒田喜夫がいる。「詩は飢えた子供に何ができるか」という…

2019年4月22日しんぶん赤旗文化面「詩壇」

3月11日を奥付に記す中村千代子『タペストリー』(グッフォーの会)に深い感銘を覚えた。タペストリーとは室内を飾る西洋の織物。機で絵柄を織り出し、完成まで何年もかかるものもある。作者は長い歳月をかけ死者たち(作者もまた大切な人を失ったのか)の蘇生を…

HP「詩と絵の対話」を開設しました。

詩と絵の間にある豊饒な関係に、詩作品、論考、エッセイで分け入るHP「詩と絵の対話」を開設しました。以下のURLです。 https://shikukan.com ここでは絵と詩の関係を具体的なすがたで見ていきます。そこから詩とは何かへの新たな答えが、色とかたちを伴って…

2019年3月26日付しんぶん赤旗文化面「詩壇」

一九九八年一月に享年四十九歳で亡くなった詩人・小説家川上亜紀氏の新刊小説・カシミア』(七月堂)が出た。川上氏が所属した詩誌『モーアシビ』(編集発行人白鳥信也)も、別冊で追悼特集を組む。 学生時代から難病と闘いながら書き続けた。上記の他に詩集は…

2019年3月18日付京都新聞「詩歌の本棚/新刊評」

ここ最近、ある絵師の絵をテーマに連作詩を書いている。試しに一つ作ってみると面白くなり、いつしか連作になっていた。絵という無言のものに、言葉でぶつかっていく時の解放感。絵の強烈なイメージの力に揺さぶられ、言葉におのずと新たな生命力がもたらさ…

2019年2月20日付「しんぶん赤旗」文化面・「詩壇」

昨年10月詩人・仏文学者の入沢康夫氏が亡くなった。宮沢賢治やネルヴァルの研究、詩集『ランゲルハンス氏の島』『わが出雲・わが鎮魂』などで知られる。1980年代に現代詩の世界に足を踏み入れた私は、「詩は表現ではない」「作者と発話者は別だ」という主張…

2019年2月4日付京都新聞文化面「詩歌の本棚/新刊評」

もうすぐ石牟礼道子さんの一周忌(二月十日)。作家というより詩人と呼ぶべき人だと思う。その言葉は水俣という風土への情愛と葛藤によって、比類なく豊かな生命をもたらされている。詩とは風土と必然的に葛藤するもの。だが詩が葛藤することで、風土は隠し…

2019年1月22日しんぶん赤旗文化面「詩壇」

『村上昭夫著作集(上)ー小説・俳句・エッセイ他、北畑光男編』(コールサック社)が、没後五十年目の昨秋刊行された。 村上は一九二七年岩手生まれ。敗戦間際十八歳で渡満し四六年帰国。翌年郵便局員となり組合機関誌に作品を発表。五〇年結核発病後は療養所で…

年初に湧いた「詩論」

「もう一つのこの世」あるいは「もう一つの秩序」を確固と、そして燦然と、この世の内で描き出すことーそれは、もっとも美しい抵抗ではないだろうか。詩であれ生き方であれ、 この世にまつろわずあの世に逃避することもせず。「もう一つのこの世」は詩人がう…

2018年12月24日付「しんぶん赤旗」文化面・「詩壇」

齋藤貢『夕焼け売り』(思潮社)は、今も見えない放射線の恐怖と向き合う核被災地の痛みを、類いまれな詩的幻想の力で伝える。聖書の楽園喪失と一粒の麦としての「ひと」のイメージが作り出す不思議な時空は、古代でもあり未来でもある。訥々とした語りは原初…

12月18日辺見庸講演存在と非在/狂気と正気のあわいを見つめて—『月』はなぜ書かれたのか」

昨夜、新宿・紀伊國屋ホールで行われた辺見庸氏の講演「存在と非在/狂気と正気のあわいを見つめて—『月』はなぜ書かれたのか」をききました。最新刊『月』刊行を記念しての講演です。風邪による熱を押しての二時間半、氏は会場に集った人々を、「友人たち」…

2018年12月3日付京都新聞朝刊「詩歌の本棚・新刊評」

松村栄子『存在確率―わたしの体積と質量、そして輪郭』(コールサック社)は、一九九二年「至高聖所(アバトーン)」で芥川賞を受賞した小説家が、十代から二十代後半にかけて書いた詩をまとめた。「卒論はフランスの詩人のイヴ・ボヌフォワについてであり」…

共に立つ夜(詩人会議2019年1月号)

共に立つ夜 ー伊藤若冲「伏見人形図」 河津聖恵火の日 四条河原町交差点のマルイ前に集う人々の背後に人形たちが現れる都の大火は歴史の彼方へ鎮められたが人形たちはまちの辻々に散らばった埋み火を拾っては食らい二百年を超える命を繋いで来たらしい火の日…

2018年11月26日付「しんぶん赤旗」文化面・詩壇

「もし、あなたが、プライド守るために、その尊い拳を握ろうとしているのなら、ペンを持って握って欲しい。殴り書きから始まる詩が、確かにあるということを僕が証明していきたい。このなかなか、言うことを聞いてくれない、決して自由とは言えない身体で。…

私が選んだ鮎川信夫の詩2篇

「ふくい詩祭2018」のパンフレットに載った、私が選んだ鮎川信夫の詩2篇です。「死んだ男」や「アメリカ」も名作ですが、あまりよく知られていないこの2篇も素晴らしいと思います。「詩がきみを」は、シベリア抑留を体験した詩人石原吉郎の急逝に際して書か…

ふくい詩祭2018「荒地の詩人、鮎川信夫を現代に問う」

昨日「ふくい詩祭2018」に行き、シンポジウム「荒地の詩人、鮎川信夫を現代(いま)に問う」にパネラーとして参加しました。 批評家樋口良澄さんの基調講演のあと、金田久璋氏の司会のもと、正津勉氏、細見和之氏と私が、会場の樋口氏と時折対話しながら、デ…

2018年10月29日付しんぶん赤旗文化面「詩壇」

岩倉文也『傾いた夜空の下で』(青土社)は、2016年から18年までに描かれた詩、ツイート、短歌を収める。「僕にとってこの本は、僕の代わりに死んでいった、言葉たちの墓標です」と作者がツイッターで述べるように、本詩集には生の危機の中で掴みとられた言葉…

2018年10月16日付京都新聞文化面・「詩歌の本棚/新刊評」

北原千代『須賀敦子さんへ贈る花束』(思潮社)は、イタリア文学者・エッセイスト須賀敦子氏の言葉の「息づかい」に魅了されてきた詩人による、オマージュとしてのエッセイ集。氏の言葉に作者がいかに励まされてきたかを、鼓動が聞こえるような情熱をもって…

2018年9月18日「しんぶん赤旗」文化面・「詩壇」

清田政信『渚に立つー沖縄・私領域からの衝迫』(共和国)が出た。清田氏は1937年久米島生まれ。大学在学中から詩を書き始め、米軍政下の60年代から復帰後の70年代にかけ、沖縄の詩人の中で最も精力的に詩と評論を発表した。だが80年代後半病を得、今も療養を…

9月3日付京都新聞文化面「詩歌の本棚/新刊評」

國重裕『ことばの水底へ』(松籟社)は京都在住の詩人・独文学者のエッセイ集。画家鴨居玲や麻田浩、ドイツの詩人ツェランやリルケ、ロマン派等における自己をめぐる思索を追う。最終章で京都ゆかりの詩人田口義弘、作家山田稔、独文学者野村修が取り上げら…

8月22日付しんぶん赤旗「詩壇」

二人の外国文学者の詩集が刊行された。中国文学者池上貞子氏の『もうひとつの時の流れのなかで』(思潮社)と英文学者向井千代子氏の『白い虹』(青娥書房)。両氏は共に敗戦前後に生まれた。 二冊に共通するのは、多くの詩が他者のために書かれ、他者への愛の…

7月24日付「しんぶん赤旗」文化面・「詩壇」

沖縄全戦没者追悼式で中学三年生の相良倫子さんが朗読した詩「生きる」は、内容と一体化した真摯な声で多くの人々の心を打った。「私は、生きている。/マントルの熱を伝える大地を踏みしめ、/心地よい湿気を孕(はら)んだ風を全身に受け、/草の匂いを鼻孔…

7月16日付京都新聞文化欄「詩歌の本棚・新刊評」

沖縄全戦没者追悼式で朗読された詩「生きる」が、話題を呼んでいる。作者は中学三年生の相良倫子さん。沖縄の自然のかけがえのない輝きとそこに生きる歓びをうたう、素晴らしい内容と朗読だった。率直に思いを述べたこの詩を、詩として評価するのは難しいか…

「抗いの意志を刻む」(6月25日付「しんぶん赤旗」文化面・「詩壇」)

金時鐘(キム・シジョン)氏の詩集の刊行が相次いでいる。今年2月に『金時鐘コレクション』(藤原書店)が発刊され、『祈り 金時鐘詩選集』(丁海玉(チョン・ヘオク)編、港の人)、新詩集『背中の地図』(河出書房新社)が続く。これで一九五〇年代に始まる…

映画「万引き家族」を観て

是枝裕和監督「万引き家族」を観ました。予想以上にひきこまれる映画でした。通常の映画が家族や社会や国家という共同体を疑わないで成り立つものだとしたら、この映画は共同体あるいは共同性を無条件に前提としていません。そこがまず良かったです。絆や繋…

6月4日付京都新聞文化面「詩歌の本棚/新刊評」

金時鐘氏の詩集が次々刊行されている。『金時鐘コレクション』(藤原書店)、『金時鐘詩選集―祈り』(丁海玉編、港の人)、新詩集『背中の地図』(河出書房新社)と続く。これら三書からは一九五〇年代に始まる氏の、六十年以上の詩的営為の全体像を見て取…

『ファントム 』3号(編集/発行 為平澪)

為平澪さんが主宰する詩誌『ファントム 』3号が届きました。 とても美しい装丁で、手に取った落ち感も良く、1号ずつ、まさに職人技で一つの詩の「空間」を創造しようとする為平さんの意志が、すみずみに感じられます。執筆者は浦世羊島、麻生有里、奥主榮、…