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河津聖恵のブログ 「詩空間」

この世界が輝きわたる詩のプリズムを探しつづける。

新詩集『夏の花』が刊行されました

 

新詩集『夏の花』(思潮社)が刊行されました。

発行日は5月1日ですが、発売日は15日で、あと2日後です。

アマゾンなどでももう予約受付が始まっています。

 

この詩集は、原発事故後から書き継いだ、花をモチーフとする詩17篇をまとめたものです。装画は玉川麻衣さん。詩を読んで力作を一気に描いて下さいました。毛利一枝さんの装丁が、花を美しく立体的に生かしています。

 

表題作について少し。

「夏の花」とはもちろん原民喜の小説も意識しそこからの引用もありますが、直接的には2012年夏にツイッターで見た原発の根元に咲いた花が主たるモチーフとなっています。

そしてそれは大飯原発が再稼働した直後でした。

ただこの詩を実作したのは、それから2年後です。

2014年5月に京都の立命館平和ミュージアムで行われた原発事故後の核被災地を撮りつづける鄭周河さんの写真展のオープニングで、鄭さんと徐京植さんと一緒にトークに参加させてもらえることになりました。それで、話の中で朗読するためにこの詩を書き上げました。(トークの内容は、各地で行われた同写真展の記録集『失われた野にも春は来るか』(高文研)に収録されています。)

詩を作る際には鄭周河さんの写真集も見つめながら、時空のイメージを膨らませました。

 

今この詩を書いた時の自分の思いから、意識の上では随分遠くなり、鈍感になったなと痛感しています。しかしこの詩は今も少なくとも自分の深層に抑圧した悲しみを、少しずつ不思議に解放してくれるのはたしかです。

 

この詩とこの詩を花芯として花びらのように取り巻く詩篇は、読んでくれる誰か深くの悲しみにも触れうるでしょうか。もしそうだとしたら、とても幸せに思います。

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