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河津聖恵のブログ 「詩空間」

この世界が輝きわたる詩のプリズムを探しつづける。

詩論集『「毒虫」詩論序説』書評⑦

先程「現代詩手帖」10月号の福田拓也さんの評を紹介しましたが、同号には宮尾節子さんの書評「翅毟り、詩撃ちー河津聖恵『「毒虫」詩論序説』」も掲載されています。「翅毟り、詩撃ち」という大変印象的なタイトルに込められたものは、まさに私が言わんとする「毒虫」の姿です。以下末尾部分です。

「私は河津が「鶴の恩返し」の鶴のように、自らの想像の羽を毟り、 さらにその羽で錦を織ることすら放棄して、ただ深く贖罪にこうべを垂れて彼の国の人に寄り添う姿を幻視する。
 植民地支配や侵略戦争という蛮行の始まりに、「優しい歌として、親しみやすい小 学唱歌や童謡、叙情歌として」隣国人や日本人に受け入れさせ、陶酔させ、魂を骨抜きにしていったのが詩歌であることを思い知れば、私は思う。河津のよう に蝶を捨 て、我が陶酔の翅毟り、 我が身の詩撃ち、 時を遡って地に這い、毒虫たらんとすることこそ、詩人たらんとする矜恃に他ならないと。 」f:id:shikukan:20200928142617j:image