『びーぐる』33号(特集:黒田喜夫の世界性を問いなおす)に、
「『世界』の感触と動因ー解体を解体する『武器』をつかむために黒田喜夫を読む」
を書いています。
今年は詩人の生誕90年。
遺された言葉は、どれも詩=革命の瞬間を求めて今も生き、
声のまなざしをこちらへ伸ばしてくるのです。
あくまで一人の表現者という内部、そして民衆の底から、
政治に向き合い続けたその日本語の生命力は、
今非政治的=非詩的に書かれる全ての言葉を
打ちすえやまないのではないでしょうか。
「今全世界において村落共同体、一人の民衆(プロレタリアート)、身体性、背理と両義性がことごとく解体されようとしている。残念ながら「世界性」がそのような内実を持たざるをえない時代だとしても、半世紀も前に黒田がそれらを思考し続けたのが、それらが失われゆく哀しみではなく、すでに「欠除」している痛覚においてだったことを想い起こせば、どうだろう? 「欠除」と「根源」がスパークする痛覚の閃光に共振し、ふたたびこの詩人を読むならば、私たちは世界の解体に裂け目を作り、解体を解体する「武器」をたしかに手にするに違いない。」(末尾部分)