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河津聖恵のブログ 「詩空間」

この世界が輝きわたる詩のプリズムを探しつづける。

劇団タルオルム「金銀花永夜(クムンファヨンヤ)」(一)

昨日、素晴らしい演劇を見てきました。Image656
金哲義(キムチョリ)作・演出、劇団タルオルム(代表・金民樹(キムミンス))による
「金銀花永夜(クムンファヨンヤ)」。
いわゆる北朝鮮バッシングの中で、朝鮮初級学校を守るために奮闘する先生(ソンセンニム)たちの葛藤を描いた劇です。

安い給料のために先生たちが次々辞めていく。
主人公の女性教師は、還暦を過ぎても無理をおして、教師を務める。
そのような状況の中で、一大イベントである学芸会の演目に
民族色を残すか、それとも日本文化に合わせたものとするか、
先生たちは討論をつづけ、悩み続ける。
そんな中、女性教師が倒れる・・。

主役のモデルは、実在の人物です。44年間教壇に立ち、学芸会で倒れて、昨年3月に亡くなった東大阪朝鮮初級学校の女性教師、洪錦純(ホングンスン)さん。

構成も演出も素晴らしかった。とりわけ台詞の言葉が鋭敏で凄かったです。70分間感動しっ放しでした。
内容については、また詳しく・・・。

上演場所は、洪先生が実際勤めていた東大阪朝鮮初級学校の講堂です。
つまりこの上演には、深い追悼の意味がこめられているのでした。

劇が始まる前、まだ少し時間があったので、
初級学校の教室を覗かせてもらいました。
居残り組?の子供たちが、お弁当を食べているところを、突然おじゃましました。
しかしみなそれぞれ口にほおばりながら、嬉しそうに迎えてくれました。
自分の描いた絵を見せてくれたり
読めるひらがなやハングルを教えてくれたり。
本当に人なつこいなあと驚いていると、
先生がふいに生徒たちを自分の脇に呼び寄せました。
それからこちらに向かって
アンニョンハシムニカ!と礼儀正しく挨拶させたのです。
わー、可愛い・・・
ふと忘れていた自分の子供の頃の純真な気持を
思い出した気がしました。
開演前にすでに、私は思わぬ小さな贈り物をもらったのでした。