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河津聖恵のブログ 「詩空間」

この世界が輝きわたる詩のプリズムを探しつづける。

#連歌デモ1595~1720

※全行程はHP(http://reliance.blog.eonet.jp/default/shikukan.html)にて御覧いただけます。

1595皮膚がみな耳にてありきしんとする盆のひととき空蝉の声((1566「蝉時雨聴覚のみがつのりけり誰も戻らぬ村を思えば」へ返歌)、注:わかる人にはすぐわかる本歌取りでござる) 

1596天災が生まれ変われと牙を剥く軍隊解消人命救助隊

1597再稼働ただちに火力の炉が止まる電力不足またウソやった

1598飛びません首都圈の空落ちプレイ騒音墜落安全配慮 

1599胸中の父母の記憶か蝉時雨入道雲に不戦の誓い((1566「蝉時雨聴覚のみがつのりけり誰も戻らぬ村を思えば」へ返歌)

1600歌といふ力思へり詠はれし言葉の数数涙して読む

1601夏雲に逝きし人らの顔うかび言葉なくして我を見つめる

1602初めての参加の友からメールあり「また誘ってね『原発ゼロ』行動」

1603彩色のドレスの乙女プラカードのビーズ文字闇に煌めかせて立つ(7.29)

1604「原発はノン・メルシー(NON MERCI)」の旗が立つ「7.29」フランス人の隊列

1605炉の中(うち)は如何にやあらむ覗き得ず手も付け得ずの収束宣言

1606「拡散」で責任逃れとカネ儲け瓦礫に託す卑しき魂 

1607東山送り火消えて闇の水別れが辛く涙止まらず 

1608母ひとり野にでて見しはひさかたの陽射しにつゆも罪のなき子ら 

1609下手な鉄砲数打ちゃ当たる下手な原発数ありゃ事故る

1610八月や死みな理不尽さりながらこの月の死のわきてなほさら

1611旅人のわきて立ち寄る木のもとも散るわざはひにたのむかげなし (古今和歌集292より)

1612去年の秋流れて消えし薪能あやふくも今山神の舞ふ

1613怨霊のいやいよチポポ法師蝉光堂から誰か来てゐる

1614秀衡の一字金輪佛頂尊慈顔に包み守れみちのく

1615みちのくのこけし人形おしらさま一字金輪佛のはらから

1616八月の列車に子供溢れけり光そのほか降り注ぐなか 

1617戦争と原子爆弾原発も人の命を奪うものなり

1618かなしみを やさしさにして なみだをしまうきみだから きぼうへのあゆみをともにすすまん

1619ひとの子の親にいつかなりし君の手へじかに渡したい祝福された夢ある明日を

1620フクシマが流せし涙は十字架にいるあの方の涙に見え

1621南風に揺れる芭蕉布琉球の夢はいつ叶う崩れぬ平和を求めし今もまた

1622敗戦忌盆に重なる天為かな樹々に影濃きみちのくの山 

1623八月や死みな理不尽さりながらこの月の死のわきてなほさら 

1624我に手を伸ばす吾子の手に希望のひかり望まんとや

1625原爆とならびし双児の片割れよ平和は今乱れに乱れて

1626誰れ知るや野辺一面のたんぽぽの根に懐胎す異形の怨嗟

1627ちいさなてをそらにのばしてわらうきみ つらくてもそのえみをわすれないで

1628こどもたちわらっていればまたわらい たちあがりまえへすすむちからとす( 1627へ返歌)

1629いにしへは戦争譚は遠かりき今偽りの世なりけると知る 

1630「絆」という言葉に思考乱されて真の「敵」を見逃す愚か

1631ゆるる進むholocaustかgenocideはたまた民族のsuicideなりや

1632民族の自裁ならば我らを召せ幼子らには生の時与えよ(1631へ返歌) 

1633民族の自裁にあらずあの時の軍部の暴走事変に似たり(1632へ返歌)
 
1634TLに流れて来る人々の 声聞こえけり我も悲しむ

1635報道に背を向け悲しと思ひけり五輪イジメと福島遠し

1636眠られぬ夜闇の中でふと笑う眠りし吾子の寝言呟く

1637眠られぬ時を過ごして幾度か我も思ゆる原発苛酷

1638原爆忌いきゆきたれど錆び錆びと原爆ドーム哀しく立てり

1639一母が歌詠む時ぞ世の中に吾子を害する物の溢れて

1640敗戦を終戦と言ひ爆発を事象と呼べど消えぬ責任 

1641美辞麗句情味一抹まぶしつつかのソーリにも似たる人々

1642聖人は名を正せとぞ曰ひき翁も俗談平話正すと

1643全滅を玉砕と言ふ美辞に似て言霊汚す空語あれこれ 

1644退却を転進と言ひ敗戦を終戦と言ふ末に今あり 

1645戦後とは辺土のハゼの研究者風情のめくら囃子か、母よ

1646原発さえなければ今頃復興の槌音高く進みしものを

1647二回目の盆来てもなお被災地の手付かずの場所夏草繁る(1646へ返歌)

1648復興も除染も瓦礫もなにせむにまされる宝利権にしかめやも(1647へ返歌)

1649君に伝えたいよ古里(コリ)も福一(フクイチ)も何か同じ空気と闇が潜みしことを

1650青空に消えゆく煙さびしくもゆき去る煙誰にし似るか(1649へ返歌)

1651彼の人の面影似たる夏雲の峰をかすめて今鳥の飛ぶ(1650へ返歌)

1652再稼動為されば増える核汚染それでも支持と謳う悪意よ

1653暗がりで線香花火の弾け散る姿をながめ言葉なき宵 

1654終戦と言葉を変えて被害面無反省やがて原発の群れ 

1655殺されし人戻らずばあるまじき「終戦」いわんや「収束」をや

1656原発で人は死なずと言いし人にいかに届けんこのことわりを(1655へ返歌)
1657やわらかなまるいこころのままそだてわたくしのちいさなたからもの(姪をふくめ福島県民の血をひくこどもたちによせて)

1658やわやわとまるまるとしたこころもてかのとげとげしきあらそいをとめよ(1657へ返歌)

1659エートスの業の深さを知りたるや君の家族を住まわせてみよ

1660盆帰る祖先来たりて往く夏の故郷還る命有りしか

1661思い出の故郷追いし蝶恋し自由の舞いを未来に寄せて

1662時越えて故郷夏の蝉時雨過去は有りしか未来泣きしか

1663盆行事子供地蔵の佇まい数多の名前憶え無きしも

1664安倍担ぎ本性顕す維新かな核も戦争もいけいけどんどん

1665安倍のもと統一せしも我が国家維新の夜明けは永久に来ぬなり 

1666人はみな気づくことなく年月の一回りして〈戦前〉の今

1667この世ではまみえぬ夫と知りながら尚待ちぬるを哀し愛しと

1668送り火は核核燃えぬ世を願いそれを御霊に誓いて五山に

1669幼子に子守唄口ずさみし祖母の目にひとすじの泪あり 幼き日に失いし父の面影を追う自分を幼子に重ねて

1670「終戦」と己を騙し子を騙し汚し続けたこのクニと言葉

1671「終戦」とは停戦の末に来るものぞ無条件降伏敗戦の証

1672「敗戦」は自虐の言葉という者ら戦火再びと望むモノ達

1673幾万の御霊還りて来るやむ送るひとありついて行きたし

1674耳の奥に残りたゆたう子守唄夫待つ妻の里の秋」今も

1675ごまかすな終戦じゃなく敗戦だピカドン落ちて尾羽うち枯らし

1676幼らの泣き声聞こえぬ15日明るく聞こえぬ無垢なればこそ

1677彷徨うは人の想いか人なのか五山送り火赫々燃ゆる 

1678琉球の渚の波と風の音に白百合の散りたる声ぞ聞こゆる

1679風渡る心地涼しき朝の来て終戦に思い馳せてただ目を閉じる

1680迫り来る軍靴の音を聞きたくはなければこそ今声を挙ぐ

1681蝉時雨淡いの夢の時すれば遠ざかる愛追い求めずや/抜け殻の蝉啼く夢の淡い時十年先も殻を抜けしか/空蝉の響くいのちの儚きにとわの想いの消えゆざりしか/うつしおみゆがめるこころたぶらかしいのちのゆくえおもわざりしか

1682あらためて原子爆弾原発も同じものだとわかりくるしむ  

1683二回目の盆来てもなお被災地の手付かずの場所夏草繁る

1684原発さえなければ今頃復興の槌音高く進みしものを(1683へ返歌)

1685あの日から百合は嫌いだその香ゆえ来る日も来る日も部屋に充ちてい 

1686敗戦の日を明日に待ち盆の朝空に魂鳴り核の原野と

1687地図の上福島の地にくろぐろと墨を塗りつつ秋風を聴く(注:啄木の本歌取りっす)

1688亡“邦”の道ひた歩むそれを〈名〉と毒収められず霊[たま]鬱[うつ]ませて(意:──だってさ。お盆のただなかの敗戦記念日に何かスピーチする野田総理

1689盆来る願わくば友よ立ち戻れ盂蘭盆汚すこの世怒りて

1690その日より死者安らかにとは祈れずに迎え火を焚く夕となりたり

1691迎え火よ盆の踊りよ今はただ死者と生者の寄り添える日々

1692佛への道未だしの御霊迎え人として語らい世を嘆き(1689から1691へ返歌)

1693灯籠の灯(あかし)に送る御霊さえ仏に至る道閉ざされて(1692へ返歌)

1694灯が島と導かれ送られしときも灯に守られてその灯陰るや(意:「お盆休みやる」と阿弥陀さんが言うんで修行途中で人間界に降りるけど、寂聴さんの嘆きも判るわ、今の日本)

1695口実に籠る〈収束〉告げし者知るや暦と季語“秋”なるを(意:ぼくが野田総理なら〈辞任の句〉を練ってるところだけどな) 

1696名もなき花よ凛と咲き誇れあまたの人の心にしたたかにしなやかに永久(とわ)に枯れることなく

1697原発をしらずにいたいままでの自分と向き合う今年の夏 

1698亡き父に似た指先で蕎麦手繰る「敗戦」と語るその亡き父に(元句「蕎麦手繰る指先が亡き父に似て」)

1699リベルテと高らかに歌いし詩人の言葉をいつの日にかぴたりと重なった裸体に書きつけむ

1700レジスタンス詩人は詠った「自由よ」とわれらも叫ばんいつか廃炉の日

1701紬がれし糸いたずらに切りて嘲笑う原発という名の犯罪者

1702核燻(くゆ)る巨(おお)きな墓碑の渚にて祖霊は嘆く故国の悶死を
   
1703音さえも消えた無人の街に沢山の小さないのちが横たわり最期まで待ち続けた日を思う

1704この国をひとびと思うお互いに眼は見据えん原発廃炉

1705生き急ぐひと立ち止まり持ち帰る白い風船「ゲンパツハンタイ」

1706なんとなし還り来たれり肉親の声を聞きおり雨の中にも

1707帰りたい帰りたくない仮定にて帰宅聞かれることの悲しさ(注:全町避難の大熊町民アンケート)

1708腰痛でケツ拭けぬ原発と同じそりゃ腰痛に失礼だ

1709ふうわりした雲を見てるナム(クスノキ)の木よ 優しく見守れ沈黙する街を

1710沈黙の心に繁る細かな根怖れの水に浸かったままで 

1711血の海で泳ぎし夢に起こされて流れる汗を確かめてみる 

1712たましひのむれにもにたるとりのむれふりもかへらずとほざかるかも

1713鯖雲に風媒の死の寄せ来るをひたすら走る夕焼の下

1714戦死餓死爆死被曝死自死獄死刑死私刑死迎火の列 

1715くずれたる墓に向かって手を合わすなにを祈るか盆の正午に

1716いのちなき地のかなしさよはらはらと涙は指のあひだより落つ((注:啄木の本歌取り

1717浅からむ心も知らね原発の壊れて来世は子孫こそ想へ 

1718来世にも連れ行く富を納めし人懐寒し金はありしも

1719貧困の鍋の底をなめるよなひとを募うて送りし廃墟は 

1720靖国に祀らることなき 御魂こそ不戦反核を倦まず訴う