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河津聖恵のブログ 「詩空間」

この世界が輝きわたる詩のプリズムを探しつづける。

「言葉でたたかう、うたびとたち」

イオ10月号の書評です。なお今号特集は、大変興味深い朝鮮アニメ特集。Image861_2

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      言葉でたたかう、うたびとたち                                                                                                                 張慧純 
    この本は高校無償化からの「朝高排除」を言葉による暴力の問題と捉えた詩人たちが、心の叫びを紡ぎ上げた作品集だ。
  呼びかけ人の河津聖恵さんは、本誌に「詩とは、苦しむ他者に寄り添うために、詩人が骨身を削り、研ぎ澄ましていく言葉」と綴ったことがある。河津さんは「他者の魂に加えられる深刻な暴力は、『うたびと』という存在への挑戦で、『うたびと』自身も自省を促されている」と100名以上の詩人・歌人に呼びかけ、日本、海外から76人の作品が集まった。
 空襲で一本足になった祖父を見ながら育った大阪在住の許玉汝さんは、「祖国を二度と奪われてはならないという、本能に近い考え」をもって朝鮮語による創作を続けてきたが、「私のふるさとを奪わないで」と初めて日本語の詩を寄せた。文科省にも手渡された詩集からは、国籍、国境を越えた「ハッキョ」への思いが綴られ、読む者の胸を揺るがす。詩人たちの搾り出された言葉からは、この差別がどれほど酷く、悲しいものかが伝わり、言葉の力をもう一度信じてみようという希望がみなぎってくる。