山口の旅最終回。
4日は、昨日とは打って変わって晴れ上がりました。
まず香山公園の五重塔に行きました。
この公園は瑠璃光寺というお寺の境内です。
「瑠璃光」というその名のとおりすごく明るいスポット。
壷中天のような穏やかな空気がとても気持よかった。
桜に抱かれる五重塔という構図は美しくなつかしい。
すごく落ち着きました。
私の中から久しぶりアルファー波が
どんどん花へ空へと誘いだされていって。
次は長門峡。
これもまさしく壷中天スポットでした。
阿武川の上流にある
奇岩や滝、深淵などが変化を織りなす奇勝です。
中原中也もこの場所を愛し
「冬の長門峡」という作品も書きました。
(詩碑もありました。)
今回は時間がなくてそれほど奥までは行けませんでしたが、
歩きながら川の音に心が洗われていくような
何とも言えない清々しさを感じていました。
優しい感じで曲がって流れてくる水が
身体に浸透してくるようでした。
岸をいとおしみ岸にいとおしまれて
川が奏でるゆたかな水の音楽。
いつまでも歩いていたいほどでした。
そして津和野に到着。
森鴎外の生家をちょっとのぞいてから
乙女峠マリア記念聖堂へ。
改宗を迫られ殉教した36名の隠れキリシタンを悼んで
ドイツ人神父が建てた聖堂です。
礼拝堂はなんと畳敷きでした。
ステンドグラスが本当に美しい光を放っていました。
さいごに安野光雅美術館へ。
これまで私は安野さんの絵を本の表紙ではたびたび目にしていましたが
じっくり本物を見ることがなかったので
すごくいい機会でした。
建物は2階建てで展示棟と学習棟があります。
学習棟は昭和初期の木造の教室を再現。
図書室では安野さんの作品だけでなく
世界の絵本や美術書を自由に見ることができます。
木の廊下がぴかぴかに磨かれているのも
小学校の入学時のときめきを思い出させくれて
何だか子どものような楽しい気持になりました。
安野さんは水彩画の超絶技巧の、そして天才的なセンスの持ち主です。
どの作品も暖かみのある淡い色彩と
描くことの楽しさが伝わってくるような軽やかな筆致に
それこそ水のようにすーっと吸われていくのです。
時間が許せばいつまでも見ていたかったです。
プラネタリウムもあって
安野さんの作品で編成されたオリジナルな映像を見ることができました。
(ここで疲れが出たせいか途中少し眠ってしまいましたが)
図書室では感想ノートにイラストレーターの黒田征太郎さんの絵を発見。
安野さんの絵には、技巧からにじむ魂の優しさがあります。
それは津和野の風土から受ける印象そのものです。
山口は全体的に山なみが穏やかな印象ですが
津和野の青野山もお椀のような形でとても愛らしいです。
(でも休火山だそうです。)
幼い頃の安野さんがこの山に見守られて育ったのでしょう。
津和野の穏やかさや優しさが天才の魂を静かに揺籃していたのですね。
そして車は広島へ。
ここで一昨年に広島の朝鮮学校の朗読会に来て下さった原畑さんと
産婦人科医の河野先生と合流。
楽しい歓談のひとときを過ごし、
夜9時過ぎの新幹線で帰途につきました。
※話題の全ての写真をアップしたかったのですが、ちょっとムリでした。残念・・