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河津聖恵のブログ 「詩空間」

この世界が輝きわたる詩のプリズムを探しつづける。

金里博さん・無声一人デモ最終回

晴天の日曜日、金里博さんの無声一人デモが最終回を迎えました。Image597
昨日と同じ13時に、フリーマーケットでごったがえす京都市役所前を出発。
北上し、河原町今出川川端通り、京阪出町柳、川端今出川、百万辺、農大前、百万遍、東一条、祇園、東山五条、河原町五条、河原町四条、そして市役所に16時過ぎに到着しました。約8キロのコースでした。
昨日と同様に、日差しが照りつける下、重いプラカードを持って黙々と歩く里博さん。
水曜から金曜の三日間は休んでいますが、精神的緊張と肉体的疲労を強いられる闘いはもう限界ではないでしょうか。
ただついて行くだけの私たちさえ、暑くてしんどいのですから。
信号待ちで追いつき、里博さんを見ると顔が真っ赤です。
しかし毅然と前を見つめる横顔からは
やりとおす、貫くという意志の固さを感じます。

今日は私たち支援者は
後方から人々の動きを観察し、プラカードにまなざしを送った人にビラを巻きました。
主婦やお店の人や学生や親子連れ。
けっこう積極的にアプローチしました。
とくに子どもの反応が良かったのが印象的。
プラカードを珍しそうに見ていた小学生のグループに声をかけると
「朝鮮高校の問題ですね、チラシをありがとうございます!」
と言ってくれたのには驚きました。
「あの人韓国人? 無声って日本語しゃべれないの」
「どうして一人デモなのに、後ろにみんながいるの」
と訊いてきた中学生の集団もいました。
京大近辺では大勢の学生さんたちが好意的にビラを受け取ってくれ
「がんばってください」とも言われて嬉しかったです。
もちろんビラを受け取ってくれない人もいました。
そうした人の中には的外れなことを言う人もいましたが
反論したい気持をぐっと抑えました。
しかしこうして実際人々の反応や表情を間近で見ることで
いわば世間や世相の生な姿を肌で感じることができた気がします。

出発よりもさらにきつくなった日差しの中Image608_2
予定よりやや遅れてついに市役所前にゴールイン!
神戸から来た寺岡良信さんをはじめ仲間たちが拍手で迎えてくれました。
それから一同集まり、ささやかなデモの終了式を行いました。
寺岡さんが次のような「連帯の言葉」を読みあげ
詩人の孤独で困難な闘いの達成を祝福しました。
里博さん、本当にお疲れ様でした!これからも共に手を携え、闘いましょう。

金里博兄へ
 
  金里博さん、私たちの親しい友人であり、偉大な兄である里博さん、今あなたは「一人デモ」という困難な闘いの全日程を終えられ、私たちの前に姿を現しました。
  五月半ばにしては肌寒い、ときには小雨の煙るここ京都の街を、重いプラカードを持ち、終始無言で、黙々と歩き通されたその意志の強固さ、孤高とも言える精神の気高さに、私たちは心より畏敬と連帯の気持ちを伝えます。
  あなたの胸に滾っていたものは、高校無償化から朝鮮学校を除外するといった、日本政府による差別行政に対する黙しがたい憤りであり、幼少時代のあなたが、朝鮮人ゆえに、様々に理不尽な扱いを体験された時代から半世紀以上も経つ今日なお、この国の暗部に、伏流水のように流れている排外感情への暗澹たる思いであったことでしょう。
  しかしそうした怒りや絶望を乗り越えて、あなたが訴えたものは、21世紀の日本を、日本人と、在日朝鮮人在日韓国人を始めとする在日外国人が手を携えて、成熟した共生社会を築きあげることへの願いであり、希望でありました。
  一人の在日韓国人がいわば「祈り」そのものと化して、街々の風景や道行く人を、あなたの心が渇望してやまない来るべき福音の色に染め上げてゆく、このことに私たちは深い感銘を受け、勇気を与えられました。
  里博さん、熱き魂を震わせている詩人の里博さん。ありがとうございました。
  闘いは緒についたばかりです。私たち日本の詩人たちも、あなたとともに歩みます。
 
  「朝鮮学校無償化除外に反対する」詩人たち有志
 
  2010年5月16日              京都市役所前にて