午前はぱらつく、午後はしのつく雨の中
今日も金里博さんの無声一人デモは
午前と午後の二回、予定通り行われました。
伴走者は計五名。午前は新聞記者が二名。午後は神戸のビデオ映像作家が撮影のために同行しました。
本日の行程は、
午前は九時、京都市役所を出発。 烏丸御池、烏丸下長者町、府庁正門、釜座丸太町、烏丸丸太町、四条烏丸、四条河原町、河原町御池、そして十一時に京都市役所に戻りました。
午後は、二時に府庁前を出発、釜座丸太町、河原町丸太町、河原町御池、京都市役所、烏丸御池、四条烏丸、四条河原町、河原町御池、そして京都市役所で解散しました。
昨日は京都市の南区が中心でしたが、
今日はいわば都心、
つまり官庁街、繁華街を歩きました。
だいたい午前は四キロ、午後は三キロを歩きました。
人通りが多いところばかりを歩いていくので
多くの人の目に止まるのが、後ろから見ていて分かりました。
まず市役所を出発したところで、若い男性が話しかけてきました。
朝鮮語のようです。里博氏も何か答えていました。
あとで訊いたところ、その男性は「本当に朝鮮人ですか」と訊ねたそうです。
そうだ、と答えると
その人自身も朝鮮高校卒であると言ったそうです。
そして、頑張って下さい、とエールを母国語で贈られました。
里博氏は、出だしでかなり励まされたようです。
今日は人通りが多いぶん
色々な人が振り返ったり、そのままじっと目で追っていたり、
友人と囁きあったりしながら
里博さんとプラカードを見ていました。
「一人デモ?」「朝鮮高校?」
「何か書いてあるね」
とくに午後は、帰宅する途中でしょうか、
多くの高校生たちが振り返ったりじっと見つめていました。
同じ高校生の問題として関心を持っているのが分かりました。
(里博氏が、朝鮮高校を無償化から除外するという不平等は、日本の高校生にとっても、いい影響を与えないと言っていたのを思い出しました)
人通りが多いところでは
重いプラカード(五、六キロはあるでしょうか)を横にしたり縦にしたり
氏はかなり気を使っていました。
あとで訊いたら、
とりわけ午後は雨が降ってきて
プラカードからしずくが垂れてきたので
人にかからないように苦心していたそう。
後ろからみると、落ち着いて決然と歩いている
と感心していたのですが、
今日は昨日以上に人混みの中を歩いて
本当はとても緊張していたんですね。
あとで気づきました。
マイノリティがたった一人
無数のマジョリティの中を
マイノリティの主張を掲げながら歩み続けることは
じつはとても怖ろしいことなのでした。
だからかぎりなく心ははりつめ身体は疲労していたのだ、と。
なぜ無声なのですか?
と、お昼休みに若い女性記者に訊かれ氏はこう答えました。
「通りすがる人が
自分の声なき声を心で聞いてくれることを期待している。
声を出すことも意味があるが
声よりも深くじんわりと感じてほしいのです」
なぜ一人なのですか?
と、続けて訊かれて言いました。
「集団は他であちこちやっている。
自分は今は一人でやらないと。
在日韓国人の金里博という顔を見せながら
自分の気持で訴えたいのです」
次は15日と16日。
土曜と日曜の雑踏の中を、歩きます。