(昨日の取材記事が掲載されました)
今年度始まった高校無償化制度の対象から朝鮮学校が除外されている現状に抗議し、在日 韓国1世のハングル詩人金里博(キムリバク)さん(68)=伏見区=が、ただ一人でプラカードを掲げ無言でデモする抗議活動を続けている=写真。金さんは11日も小雨が降りしきる中、京都市内を歩いた。
プラカードには「友として21世紀を共に生きる青春です。朝鮮高級生にも授業料免除を!」と書いてある。「在日3世、4世も一緒に日本の未来を生きる仲間。無償化に協力してほしい」と述べて午前9時に京都市役所前を出発。昼の休憩を挟んで午後4時までデモをした。「大勢の中の一人ではなく、金里博個人として顔を見せたい」という金さんの意思を尊重し、日本人の友人数人が約10メートル後方からデモを見守った。
金さんによると、「一人無声デモ」は1980年代に軍事政権下の韓国で、民主化を求める活動家たちが用いた抗議手法だという。「声をあげて主張するばたたかれる。黙りこんだら主張は伝わらない。しかし、一人が無言でもデモをすれば抗議の意思は伝わる」と語る。
在日であることを理由に大阪の小学校でいじめを受けた経験がある。クラスで何かが壊れたりなくなったりすれば、担任教師が金さんのせいにした。「日本への不信感を一掃するのに30年近くかかった。在日韓国人・朝鮮人の若い世代が、無償化除外で不信感を持つことを心配している」という。金さんは15、16両日も市内でデモをする予定だ。