無償化審査停止への声明
2010年12月8日
岐阜朝鮮初中級学校の子どもを支援するポラムの会
共同代表 赤塚さとみ 河合良房
こばやしひろし 後藤輝美
堀無明 松井和子
去る2010年11月24日菅内閣は、朝鮮学校の高等学校授業料無償化の審査を停止し、先送りとしました。この停止は、朝鮮半島西海で起きた軍事衝突を受けてとのことですが、朝鮮学校とは何ら関係のないことです。私たちは、怒りを超えて、悲しさを覚えています。まさしく外交上の問題を教育の場に持ち込み、人種、民族、国籍、信条等による差別を、学ぶ者たちに与えたのみならず、広く国際社会に日本政府の時代錯誤を示したものです。このやり方は、朝鮮学校および子どもたちの両親、関係者を傷つけ、日本国にとって取り返しのつかない結果を生み出しています。
私たち日本人は、過去何十年にも亘って、“朝鮮人なるが故に”という差別と排除を、朝鮮半島に縁のある多くの人びとに加え、彼らを苦しみのどん底に追いやってきました。それをいま、また繰り返しているのです。
文部科学省は、日本で学ぶ子どもたちの教育を司る機関です。未来を担う子どもたちの教育に政争を持ち込むべきではありません。高校授業料無償化制度は、「国籍を問わず、わが国において後期中等教育段階の学びに励んでいる生徒を等しく支援する」ためだったはずです。この問題で、「外国人学校の指定については、外交上の配慮などにより判断すべきものではなく、教育上の観点から客観的に判断すべきものである」という統一見解を政府はすでに出しております。政府の統一見解は、かくも軽々しく扱われるものなのでしょうか。多数が少数をいじめ、強者が弱者を排除するという差別を、一部の権力者たちの気まぐれによって自ら行っているとみなされても仕方がないのではないでしょうか。
将来を見通せる時と場を与えられている者こそ、自らを省み、冷静に政治を行うべきです。日本国憲法、教育基本法、国際人権規約の理念に基づき、すべての者に対する平等な制度の適用を願います。これ以上、朝鮮学校生徒たちの心を傷つけることなく、いますぐ、高校無償化制度を適用することを強く要求します。