私の三番目の詩論集『パルレシア ―震災以後、詩とは何か』(思潮社)が、
アマゾンで予約開始になりました。
発売は12月25日となっています。
この詩論集は、東日本大震災をめぐって書かれた文章を中心にまとめたものです。
安保法制や原発再稼働の動きが加速しようとする
現在の政治や経済によるいわば「散文的な暴力」にたいし、
「詩を書くという行為」はどのようにあらがえるのか―
私なりの問題提起として、一石を投じる本になっています。
詩を書く方々だけでなく、
ことばと現在について思いを巡らす多くの方々に読んで頂きたいと思います。
毛利一枝さんによる美しい装幀が、
緊迫した内容を繊細に包んでくれています。
以下目次と帯文です。
【目次】
第一章 パルレシア―震災以後、詩とは何か
・「パルレシア……」または命がけの比喩という行為──震災以後、詩とは何か
・もっと「いのちの表現」を──震災後にツイッターを始めて
・「声の道」を拓くために──東日本大震災にとって詩とは何か
・「巨大な海綿状」の虚無とさえ引き合う詩―辺見庸『国家、人間、あるいは狂気についてのノート』
・闇の中でなお美しい言葉の虹──辺見庸『水の透視画法』
第二章 ここは巨大な孤独だ、事物の果てしないコミューンだ―小詩集
・影
・メドゥサ
・石巻(一)
・石巻(二)
第三章 鈍銀色の沈黙に沈んでいる―追悼文集
・虻と風になった詩人―追悼・吉野弘
・言葉に差別を刺す鋭さを与えよ ―追悼・辻井喬
・鈍銀色の沈黙に沈んでいる──追悼・新井豊美
・牟礼慶子さんという場所
・詩を書くという行為を受け継ぐ──追悼・吉本隆明
第四章 何よりもまず、詩人でありたい―詩人と時代をめぐって
・何よりもまず、詩人でありたい──詩人としてのシモーヌ・ヴェィユ
・夢の蓮の花の力──詩人としての中上健次
・私たちの今日の詩のために──ブランショ「再読」
・「現代詩システム」を食い破るバブル・身体性・大文字の他者──八〇年代投稿欄再見
・天の青の記憶とともに降りてきた問いかけ──詩人尹東柱の故郷 中国・延辺朝鮮族自治州をめぐって
第五章 闇の中でなお美しい言葉の虹―書評
・闇のまま輝く生の軌跡──関口裕昭『評伝パウル・ツェラン』
・本当の声が呼び交わしあうために──宋友恵著・愛沢革訳『尹東柱評伝』
・「向き合い」の結実──金時鐘『再訳 朝鮮詩集』
・遙かな時の海を越えて──青柳優子編訳・著『朝鮮文学の知性・金起林』
・バラあるいは魂の根づきのための戦い──席慕蓉詩集『契丹のバラ』
・アンガジェせよ、と誘う他者たちのほうへ──二〇〇九年東アジア翻訳詩集・評伝
・フランシス水車のやうに──『吉本隆明詩全集』から視えてくるもの
・私の中から今その声を聴く──アルフォンソ・リンギス『汝の敵を愛せ』
終章 詩は未来の闇に抗えるか
・死者にことばをあてがえ―詩人辺見庸のことばが触発するもの
あとがき
【帯文】
「震災以後の詩とは、「パルレシア」の意志としての詩であると私は思う。それは震災と原発事故によって、人間としての権利を?奪されたことを嘆き訴える声々と、遙かに共鳴しあわずにはいられない」(「「パルレシア……」または命がけの比喩という行為」)。
“パルレシア"――何についてでも率直に真実を語ること。脅迫をも、迫害をも、殺されることをも恐れず、自由に語ること。震災後の辺見庸の言葉を導きに、東アジアの詩や、シモーヌ・ヴェイユ、モーリス・ブランショ、吉本隆明の思想、中上健次の詩作などを通して、真実の詩の光を見出していく。現在に問いかける渾身の詩論集。装幀=毛利一枝