#title a:before { content: url("http://www.hatena.ne.jp/users/{shikukan}/profile.gif"); }

河津聖恵のブログ 「詩空間」

この世界が輝きわたる詩のプリズムを探しつづける。

誰もが誇りを持てません

今、「国家」(を標榜するもの)に怒りをおぼえています。
自分なりにまっとうな怒りだと思っています。

今日8月末日は
文科省が私たちに約束した
朝鮮学校の無償化除外問題に対して結論を出す期日でした。
しかし
専門家会議の報告書は公表され
同省の政務三役はすでに朝鮮学校への適用方針を固めたものの
民主党や政府内に異論があることから、教育問題を担当する民主党の部門会議などにはかって意見を聞いた上で、最終判断する方針だ」(朝日新聞
と結論は先送りにされました。

明日から新学期です。
生徒たちはまだ酷暑の中
ふたたびハッキョへの坂をのぼっていくことでしょう。
私たちの「国家」が与えた落胆を
深くおし隠し。

政府には拉致問題を理由に
文科省がすでに認めている無償化から同校をどうしても除外したい
勢力が存在するようです。
その人たちは
同校が政治的な教育を行っていると言うそうですが
文科省の当初からの方針に対し
拉致だの経済制裁だのと
政治の側から介入しつづけているのは
その人たちの方です。

その言い分はあまりにも浅薄で
文化や教育に携わる者(もちろんまっとうに生きる誰もがそこに含まれます)は呆れこそすれ
承認することなど決してできません。
どんなに語気をつよめて反論してもそれは
文化や教育に対する侮辱です。

その人たちは
日本の国家を代表しているつもりなのでしょうが
政治だけが国家ではないはずです。
文化も教育も外交も
いえそれらこそが国家のいわば「たましい」です。
政治がみずからの権力を絶対であるとはきちがえて
「たましい」をおしつぶしてはいけない。
浅薄な言説だけで日本を代表する錯覚に陶酔してはいけない。
そんな語気だけつよいこじつけの中に
日本は存在していない。

朝鮮学校の無償化を政争の具になど決してしてはなりません。

2月から
在日朝鮮人も日本人も
どれほど多くの人が身も心も削りながら努力し
文科省に足を運び署名を集め訴えてきたか。
それは
朝鮮学校生のためであるのはもちろんのこと
この日本への思いからなのです。

私たちが想う日本とは
政治がおのれの権力を絶対視してしまい
道をあやまった
かつての独善的な近代国家としての日本ではありません。
もはや共に生きざるをえないアジアの中で
朝鮮とも理解しあいたすけあう方途を模索する誠実な日本、
文化や技術を伝えあったかつての和の心と知的好奇心のDNAを
ふたたび目覚めさせる勇気ある日本です。

未来と過去の双方へ同時に向かう
繊細さと複雑さと真摯さをかねそなえた日本、
ゆたかな自然への感受性をとりもどした生命力あふれる人々が
たすけあい、笑いあい、考えあい、対話をしあい
一人一人が自分と自分の国に誇りを持って生きる日本。

他者を排除することにやっきになる国などには
誰もが誇りを持てません。
そして、否定的な感情でまとまる国家には
必ず悲惨な結末が訪れたではありませんか。