岐阜に帰省していた折、
敗戦直前に23歳で戦死した、詩人竹内浩三の特集を
中日新聞で読みました。
昨年も特集していた記憶があります。
中部地方に属する三重出身の詩人だからということもあるでしょう。
日本よ
オレの国よ
オレにはお前がみえない
一体オレは本当に日本に
帰ってきているのか
なんにもみえない
オレの日本はなくなった
オレの日本がみえない (「日本が見えない」部分)
戦死した兵士の亡霊が語っています。
「オレの日本」とは
戦時のすべての人々の労苦が報われる国、
みなが互いを思いやる国だったはずです。
しかし詩人の真情を裏切って、戦争はただ権力者のエゴから引き起こされたものでしたし
結局はかれらの卑怯な保身のために
惨憺たる終わり方をしたのでした。
さらに戦後この国の人々は反省などしないかれらのエゴに
引きずられたのでした。浩三の詩はそれを予言したものです。
死ぬ日まで詩人でいたい──
竹内浩三も東柱のように願った詩人だったのでしょう。
昨夜五山の送り火をみつめがら
この国の三百万の戦死者たちもまた
いまだ夜空をさまよっていると感じました。
かれらは
この社会に醜い言葉でふたたび戦意をかきたてる人々を
呪詛しているはずです。