「週刊金曜日」849号(6月3日発行)の投書欄に、『ハッキョへの坂』の感想が掲載されました。投書主の李さんに感謝申し上げます。
詩集『ハッキョヘの坂』
李淳明(イ・スンミョン)(35歳)
最近、朝鮮学校高校授業料無償化実現のため誠実に一生懸命取り組んでおられる京都市在住の詩人、河津聖恵さんの詩集『ハッキョヘの坂穴土曜美術社出版販売)を読んだ。『ハッキョヘの坂』は日本政府が高校授業料無償化の対象から、朝鮮学校だけの除外を決定したことに対して、怒りと悲しみを感じて、朝鮮学校無償化除外反対を訴えた詩を中心に二〇篇が収められている。
印象に残った箇所は「二人三人で腕を組み肩を抱いて駆ければ/水色の空はふうわりと揺れ/みえないウリマルの花びらが/他人のものでもあり自分のものでもあるこの国に/ふりしきるだろうか」だ。河津さんの朝鮮学校や在日朝鮮人に対する愛情や想像力の深さが伝わってくる。
私は詩の役割とは次の様に考えている。�@人々の感受性や良心に問いかけ、社会に対する影響力を行使すること�A政治的社会的不条理や非人間性を告発して、他者の苦しみや痛みに対する想像力を持つことの大切さを訴えることだ。
河津さんは全国の詩人に呼びかけて朝鮮学校無償化除外反対の抗議アピールを出したり、『朝鮮学校無償化除外反対アンソロジー』刊行などの活動をしている。朝鮮学校無償化除外によって、在日朝鮮人に対する民族差別や排外主義が煽られている今だからこそ、他者の苦しみや痛みを感じ取れる感受性を育むためにも、『ハッキョヘの坂』は多くの人々に読んで頂きたい詩集だ。