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河津聖恵のブログ 「詩空間」

この世界が輝きわたる詩のプリズムを探しつづける。

「『言葉』と『ことば』ー田村隆一生誕百年」(『PO』2024年春号)

総合詩誌『PO』2024年春号の「ことば」特集に寄せて、「『言葉』と『ことば』ー田村隆一生誕百年」を書きました。これは昨年12月の講演「いま、戦後詩をみつめる」の準備と並行して書いたもの。ちなみに講演では詩を、田村の言う「感情の歴史の創造」と捉え…

「いま、戦後詩をみつめる・抄録」(『詩と思想』3月号)

『詩と思想』3月号に、昨年12月23日に国立市公民館で行った講演会「いま、戦後詩をみつめる」の抄録が載っています。抄録といっても今回は第一部のみ、11頁にもわたっています。4月号に水島英己さんとの対談と会場からの質問と応答が載ります。編集部のご好…

詩の講座のお知らせ

4月から京都で詩の講座を担当します。詩に関心のある方、実作をしてみたい方はぜひ。一緒に楽しく学んでいきましょう。 □タイトル「好きな詩に出会い、好きな詩を書くー詩を書こう」□講師河津聖恵(詩人)□概要詩とはなにか。この講座ではあなたの「好きな詩…

2024年2月5日京都新聞朝刊「詩歌の本棚・新刊評」

倉橋健一『宮澤賢治ーー二度生まれの子』(未来社)は、30年以上前に刊行された賢治論を増補し復刊したもの。だが全く古びていない。詩人でもある著者の思索の言葉は、賢治についての固定観念を次々と打ちくだく。とくに「中原中也の関心」と「二度生まれの子…

HP「一篇の詩への旅」開設のお知らせ

HP「一篇の詩への旅」が出来ました。 各人がそれぞれ選んだ一篇の詩を肌身で感じつぶさに読み解きながら、詩の時空を旅します。 まずは、 尹東柱「序詩」(河津聖恵) 「藤田武の一首」(加部洋祐) の二つの旅をアップしました。どうぞひととき、豊かな詩の小さ…

12月23日の講演会の記事・1月10日毎日新聞夕刊

昨年12月23日の講演会を記事にしていただきました! 同世代の記者が歴史家の和田春樹さんの著書とタイアップさせて、とても的確に書いてくれました。 「印象深かったのは、河津さんがこのテーマを選んだ理由を「戦争が決して過去のものではなくなった今、戦…

12月23日講演会「いま、戦後詩をみつめる」

12月23日の講演会のポスターが完成しました。8日頃から公民館で電話or来館受付です。1950年代「荒地」最盛期に田村隆一と鮎川信夫が住み、サークル詩もさかんだった詩の町くにたちに、ぜひご参集ください。 この講演会をとおして、「いま詩とは何か、どんな…

講演会のお知らせ

12月23日の講演会のお知らせです。よろしければぜひ!(8日頃から国立市公民館にて電話or来館受付です。)くわしくは下記の広報一面をご覧ください。 現在、四苦八苦しながら準備中です。内容は何とか定まってきました。『荒地』、『列島』、サークル詩をとお…

2023年11月20日付京都新聞朝刊文化面「詩歌の本棚・新刊評」

今年は戦後を代表する詩人、田村隆一の生誕百年。田村の石礫(いしつぶて)のような物質的な言葉からは、今なお新鮮な反戦感情がまっすぐに立ち上がる。「わたしの屍体を地に寝かすな/おまえたちの死は/地に休むことができない/わたしの屍体は/立棺のなか…

2023年10月2日京都新聞文化面「詩歌の本棚・新刊評」

詩が分かるとはいかなることか。書き手は自分にも分からない心の動きを、詩表現によって捉えようとするが、大切なのは、分からなさをそのまま伝えることだ。心の動きを解き明かして書けば、詩は魅力あるものにならない。全て分かると確信して読めば、詩の魅…

詩「破片」(「現代詩手帖」2023年9月号)

「現代詩手帖」9月号に詩「破片」を書いています。このところ書きついでいる連作「鏡」のうちの一作。今、戦後詩がいい頃合いに焼けたパンのように、自分の詩への未知の飢えを触発しています。その不思議でもあり必然でもある心の状態を、鏡の中に入る境地で…

2023年8月21日京都新聞朝刊文化面「詩歌の本棚・新刊評」

夏に入り、戦後詩を代表する「荒地派」の再読を始めた。戦死者への思いがこもる同派の隠喩はかつては難解だった。だが今は肌身に迫る。七十年ほど前の若き詩人たちの先鋭な危機感が、現在のぼんやりとした危機感を遥かに照らし出し、形を与えてくれるのだ。…

たかとう匡子『私の女性詩人ノートⅢ』

たかとう匡子『私の女性詩人ノートⅢ』(思潮社)は12人の「女性詩人」を取り上げた詩人論集。私も「〈女性詩〉とは異質な流れから」という副題で取り上げていただいている。第一詩集『姉の筆端』から『夏の花』までの流れが丹念に辿られています。私が、女性詩…

「ふらんす堂通信177号」

「ふらんす堂通信177号」は受賞特集。私も第41回現代詩人賞受賞詩人として、詩「ピエールとリュース」(連作「鏡」)とエッセイ「現代性という躓きの石」を寄せています。両者ともに、現代詩に固有の「全く別の現代性」を探る試みです。現代詩には近づく戦争の…

『詩人会議』8月号に詩「鏡IIーオルフェ」が掲載されました

『詩人会議』8月号に詩「鏡IIーオルフェ」が掲載されました。戦争をしない、させないという特集にそった内容です。今ウクライナでの戦争からもたらされる、過去と未来が相互に映し合うような感覚をもといにして、連作を試みています。戦争と鏡という二つのモ…

2023年7月3日京都新聞朝刊文化面「詩歌の本棚・新刊評」

私たちは日本語と日本の風景に、常日頃空気のように親和している。だが詩は、感受性の力でそこに違和を持ち込むことが出来る。日本語が異語のような面白さや不気味さをあらわし、風景が新鮮で危うい異貌をおびるとき、詩はポエムを超えて、現代性と世界性を…

2023年5月16日京都新聞朝刊文化面「詩歌の本棚・新刊評」

テーマを設定すると、詩は不自由になるようにも思える。だがテーマを持たず思うがままに書くと、何を書いても自由であるがゆえにかえって迷いゆきづまることがある。テーマで詩に負荷をかけることはもっと試みられていい。テーマにどう抵抗し親和するか試行…

『詩人茨木のり子とふるさと西尾(増補版)』

愛知県の西尾市岩出文庫から、『詩人茨木のり子とふるさと西尾(増補版)』をご恵送いただきました。 ふるさと西尾の暖かな空気と、昭和という時代の光と影の記憶の中で、この国が生み出した最良の詩人と再会する喜びを感じています。 作品、テーマ別の解説と…

2023年4月3日京都新聞朝刊文化面「詩歌の本棚・新刊評」

今、人間の声がどこか聞こえがたい。胸の内から自分の思いを誰かに届けようとする真率な声の響きが、巷間(こうかん)から消えているように思えてならない。しかしだからこそ詩が存在するのであり、必要なのだと思う。ちょうど半世紀前、石原吉郎は詩の本質と…

2023年2月20日京都新聞朝刊文化面「詩歌の本棚・新刊評[ 」

詩は世界の闇や混沌を言葉によって造形するものだー『高良留美子全詩 上・下』(土曜美術社出版販売)を読みながら思った。一昨年亡くなった詩人が、逝去直前まで改稿を重ねた本書は、初期詩篇から今を鮮やかに撃つ。思春期に敗戦を迎えた詩人は、戦争を繰り返…

2022年12月19日付京都新聞朝刊文化面「詩歌の本棚/新刊評」

鈴木志郎康氏が亡くなった。1960代から70年代、無意味な言葉と身体性で日常と体制に挑み続けた「極私的ラディカリズム」の詩人である。半世紀前の言葉を読み返しているが、それらがなおアクチュアルなのに驚く。コロナ禍や戦争の文脈が日常に次々浸透してい…

クンストレースの展示

京都・西陣にある「レースミュージアム・LOOP」2Fで、友人の御母堂である故・石川なごみさんのクンストレース(芸術編みの技法を自由な絵柄に編み込む作品)の額絵が展示中です。 芸術的で繊細な超絶技巧に見入りました。他にも様々なレースに室内が華やいでい…

「詩人会議」1月号に詩「鏡」を書きました

「詩人会議」1月号に詩「鏡」を書いています。ウクライナでの戦争は日中戦争と、今を鏡として映り合う。未来は同時に過去へ向かう。そんな不安と恐怖を、詩で見つめてみました。

2022年11月7日京都新聞朝刊文化面・詩歌の本棚/新刊評

詩に定型のリズムはない。だが詩はつねにどこかで固有のリズムを模索している。音律だけでなく、感情による内在律や構成によるリズムもある。それらが巧みに合わさることで、作品は彼方へ鼓動を始める。 江口節『水差しの水』(編集工房ノア)は、円熟した齢(…

2022年9月19日京都新聞文化面「詩歌の本棚・新刊評」

詩は他者はどのようにして描くのか。詩は孤独な独白であるが、それゆえ他者をつよく求める。日常の次元を超え、他者の魂と直に交わりたいという純粋な思いが詩を書かせるのだ。孤独の深まりの中で研ぎ澄まされた言葉が、他者の本質的な姿をつかむ。 上野都『…

2022年8月1日京都新聞朝刊「詩歌の本棚・新刊評」

六月に行われた沖縄戦没者記念式典で、七歳の少女が自作の詩を朗読した。美術館で「沖縄戦の図」を見た時の衝撃を素直に綴ったものだが、私は胸を打たれた。「こわいよ 悲しいよ」という幼い声が、遥かな昔ガマで死んだ子供の声のようにも聞こえたのだ。その…

2022年6月20日京都新聞朝刊文化面「詩歌の本棚・新刊評」

「反詩」という言葉がある。かつて詩人の黒田喜夫が提示した概念で、詩に立ちはだかる、詩になりがたい悲惨な現実を意味する。黒田は詩は「反詩」と関わり、それを組み込むことで深く豊かになると主張した。今戦争を筆頭に今次々と押し寄せる「反詩」の濁流…

2022年5月2日付京都新聞「詩歌の本棚・新刊評」

今、戦争の殺伐とした空気が世界を席巻している。片隅で書かれる詩にもそれは及んでくる。どんなテーマや手法で書こうと、あるいは戦争からいかに離れようとしても、危機感や不安感はどこかに翳を落とす。一方詩の読みも変化せざるを得ない。今発表される詩…

2022年3月21日付京都新聞「詩歌の本棚・新刊評」

三月二十九日は詩人立原道造の命日。かつて明けないコロナ禍に絶望感を覚えだした頃、ふと再読した立原の言葉に救われた思いがしたのを覚えている。特に死の直前詩人として生き直すために、病を押して出た旅の中で記された「長崎紀行」は今も眩しい。結核と…

美しく悲しい詩

ウクライナといえばこの詩を思い出す。あまりにも美しく悲しい詩です。今このとき、さらに。 (無題) パウル・ツェラン(中村朝子訳) ハコヤナギよ、お前の葉が暗闇のなかを 白く見つめている。ぼくの母の髪は 決して 白く ならなかった。 タンポポよ、こんな…