2024-01-01から1年間の記事一覧
詩は身体と深く関係する。言葉は内面のみから生まれるのではない。書き手の誰もが、身体深くから思わぬ言葉が立ち上がって来る感覚を知っているだろう。詩を書く最中にはかすかに喉も動くのが分かるし、作品を朗読すれば推敲が上手く行くこともしばしばだ。…
1980年代、「女性詩」というカテゴリーがあった。詩誌『ラ・メール』を中心に、多くの女性が平易で感覚的な言葉で、日常や身体に即した詩を書いた。私もブームに背中を押された一人だが、やがて「女性詩」という名称に違和感も生まれた。書き手の殆どが男性…
「詩と思想」4月号に昨年末に国立市公民館で開催された講演「いま、戦後詩をみつめる」(抄録)後編が掲載されています。内容は水島英己さんと私の対談と質疑応答です。対談は鮎川信夫のいう「無名にして共同なる社会」が主なテーマ。質疑応答では戦後詩人の加…
全詩集を読むのは贅沢な体験だ。詩人の生涯を年譜と作品でまるごと堪能できるのだから。だが最も興味深いのは、「詩とは何か」という詩人の数だけ答えのある問いをめぐって、模索したすがた。一人の詩人の真摯な苦闘の道のりをつぶさに知ることは、後続の者…
総合詩誌『PO』2024年春号の「ことば」特集に寄せて、「『言葉』と『ことば』ー田村隆一生誕百年」を書きました。これは昨年12月の講演「いま、戦後詩をみつめる」の準備と並行して書いたもの。ちなみに講演では詩を、田村の言う「感情の歴史の創造」と捉え…
『詩と思想』3月号に、昨年12月23日に国立市公民館で行った講演会「いま、戦後詩をみつめる」の抄録が載っています。抄録といっても今回は第一部のみ、11頁にもわたっています。4月号に水島英己さんとの対談と会場からの質問と応答が載ります。編集部のご好…
4月から京都で詩の講座を担当します。詩に関心のある方、実作をしてみたい方はぜひ。一緒に楽しく学んでいきましょう。 □タイトル「好きな詩に出会い、好きな詩を書くー詩を書こう」□講師河津聖恵(詩人)□概要詩とはなにか。この講座ではあなたの「好きな詩…
倉橋健一『宮澤賢治ーー二度生まれの子』(未来社)は、30年以上前に刊行された賢治論を増補し復刊したもの。だが全く古びていない。詩人でもある著者の思索の言葉は、賢治についての固定観念を次々と打ちくだく。とくに「中原中也の関心」と「二度生まれの子…
HP「一篇の詩への旅」が出来ました。 各人がそれぞれ選んだ一篇の詩を肌身で感じつぶさに読み解きながら、詩の時空を旅します。 まずは、 尹東柱「序詩」(河津聖恵) 「藤田武の一首」(加部洋祐) の二つの旅をアップしました。どうぞひととき、豊かな詩の小さ…
昨年12月23日の講演会を記事にしていただきました! 同世代の記者が歴史家の和田春樹さんの著書とタイアップさせて、とても的確に書いてくれました。 「印象深かったのは、河津さんがこのテーマを選んだ理由を「戦争が決して過去のものではなくなった今、戦…