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河津聖恵のブログ 「詩空間」

この世界が輝きわたる詩のプリズムを探しつづける。

2015-01-01から1年間の記事一覧

『詩と思想』2016年1・2月号 に時評「「毒虫」詩論序説―安保法案可決以後」が掲載されました。

『詩と思想』2016年1・2月号に、 時評「「毒虫」詩論序説―安保法案可決以後」が掲載されました。 今年(2015年)9月の安保法案可決の前々夜に国会前のデモに参加した体験、 そして法案可決の翌朝に心身で実感したことから、 これからの詩をどう考…

詩論集『パルレシア ―震災以後、詩とは何か』(思潮社)の予約が始まりました

私の三番目の詩論集『パルレシア ―震災以後、詩とは何か』(思潮社)が、 アマゾンで予約開始になりました。 発売は12月25日となっています。 この詩論集は、東日本大震災をめぐって書かれた文章を中心にまとめたものです。 安保法制や原発再稼働の動き…

12月7日付京都新聞掲載「詩歌の本棚/新刊評」

詩の比喩表現には、大きく分けて隠喩と直喩と寓意がある。寓意とは、現実への風刺や批判をこめて、擬人法などを用いた比喩。隠喩と直喩はテクストを学ぶだけでも体得されるが、寓意は現実を見つめなければ掴まれない。詩に現代性をもたらす大切な技法だ。 中…

『女性のひろば』12月号に詩人尹東柱について紹介する文章を寄稿しました。

月刊誌『女性のひろば』12月号に、 詩人尹東柱について紹介する文章を寄稿しました。 原稿を依頼されるといつも思うのですが、 緊張感の中で、対象に真剣に向き合うことで初めて分かるものがあります。 今回も、社会派の女性雑誌ということで、 しっかりと…

11月9日(月)コンサート&トーク「唱歌の社会史 なつかしさとあやうさと」

11月9日(月)に行われる下記のイベントにパネリストとして参加します。 タイトル:コンサート&トーク「唱歌の社会史 なつかしさとあやうさと」 場所:ウィングス京都・2Fイベントホール(京都市中京区東洞院通六角下ル御射山町262) トークパネリスト:中…

花の姿に銀線のようなあらがいを想う――石原吉郎生誕百年(『びーぐる』28号)

花の姿に銀線のようなあらがいを想う――石原吉郎生誕百年 河津聖恵 一枚の栞がある。七宝かさねという技法で、螺鈿めいた銀箔の縁取りがされたその中央に、今一艘の船の黒いシルエットが目的地に辿り着こうとしている。興安丸、と記されている。一九五三年、…

2015年10月19日付京都新聞「詩歌の本棚/新刊評」

「戦後詩」というカテゴリーがある。戦争体験を重要なモチーフとする詩を指すが、代表的な詩誌に『荒地』と『列島』がある。傾向としては、前者では知性に基づき個の内面を深める詩、後者では現実に向き合い人間性を回復する詩が目指された。「詩と政治」の…

寒河江の夜

11日、映画の後で山形の友人とおちあい、 手作り市や県庁を見たあと、 寒河江へ車で向かいました。 道中、荘厳な夕焼けに圧倒されました。 こんな美しい夕空は見たことがありません。 (カメラではその美しさが半減しています。目と自然の関係ってすごい。…

山形国際ドキュメンタリー映画祭(『自然と兆候/四つの詩から』『首相官邸の前で』)

10月10日と11日、山形国際ドキュメンタリー映画祭を見に行きました。 10日は「ともにある」部門での、岩崎孝正監督による「自然と兆候/四つの詩から」を、山形美術館内の会場で見ました。 福島に生まれ育った岩崎さんは、原発事故後の福島の風景を撮…

『自由と平和のための京大有志の会声明書』

『自由と平和のための京大有志の会声明書』(クレヨンハウス、500円) が出ました。 この夏いつだったか 沖縄から帰ってきたばかりの私は、 ネットで「声明書」を読み、 とりわけ「海は、基地に押しつぶされてはならない。空は、戦闘機の爆音に消されてはな…

『自然と兆候/4つの詩から』(監督:岩崎孝正)が山形国際ドキュンメンタリー映画祭で10月10日に上映されます

インタビューと詩の朗読によるドキュメンタリー、 『自然と兆候/4つの詩から』(監督:岩崎孝正/2015/50分) が山形国際ドキュメンタリー映画祭で 「ともにある Cinema with Us 2015」部門で上映されます。 内容は、いま福島の風景を撮影している写真家北…

「現代詩手帖」10月号に詩「花世の島」が掲載されました

7月に訪れた沖縄の各地で感じ取った、岡部伊都子さんの面影からイメージを借りました。 もちろん現実の岡部さんの姿から作品として想像をふくらませたものです。 詩に出てくる「月桃花」は岡部さんが愛した花。 安保法案可決が迫る中で書いた、私なりの反戦…

賢治祭の夜

未明に安保法案が可決した19日夜、 「賢治祭2015」が 詩人の高橋秀夫さんのお店 「つづきの村」(奈良市学園町)で行われ、 私も講演者として参加しました。 私は『闇より黒い光のうたを―十五人の詩獣たち』で詩獣の一人として、 宮沢賢治を取り上げました…

安保法案可決の朝

安保法案は 国会前に行った翌々日の19日未明に可決してしまいました。 京都に戻って私も最後までTVを見ていました。 その瞬間の失望感は、いいがたいものでした。 それは私だけのものでなく、 憲法が守られ、平和への思いが守られることを願いつづけた無数…

9月17日国会前に行きました

先週17日、連日国会前で行われている、 安保法制反対のデモに参加しました。 以前反原発のデモに参加したことはありましたが、 国会に行くのは二年ぶりくらいでしょうか。 採決直前ということもありかなりの混雑が予想されました。 一人で行くと迷子になっ…

9月15日付京都新聞掲載「詩歌の本棚・新刊評」

大阪の季刊詩誌『びーぐる』28号が、「石原吉郎と戦後詩の未来」と題した特集を組んでいる。石原は今年生誕百年を迎えた。戦後約八年間シベリアに抑留され、帰還後詩を書くことで極限体験と向き合った詩人である。同誌で一色真理氏は、3.11後の日本で今最…

書評・濁流の中で出会った一枚の板―石川逸子『戦争と核と詩歌―ヒロシマ・ナガサキ・フクシマそしてヤスクニ』(スペース伽耶)(「思想運動」964号(2015.9.1)掲載)

原発事故後この国は濁流に呑み込まれている。事故直後は社会は新しい共同体を目指し、原発を放棄する道を歩むのではないか、と淡い期待もあった。だが今やこの国はさらに方位を失い、戦前からの血の流れにさえ身を任せている。本書は濁流の中で私が出会った…

「詩と思想」9月号に公開座談会「ラクダが針の穴を通るとき―3.11後の時代と女性の言葉」が掲載されました

「詩と思想」9月号に、5月16日にキャンパスプラザ京都で行われた、 公開座談会「ラクダが針の穴を通るとき―3.11後の時代と女性の言葉」 の内容が掲載されています。 原発事故後、 この国では美しい自然と社会の構造と人の心に、 無数の針の穴が空き…

『奪われた野にも春は来るか 鄭周河写真展の記録』(高文研)が刊行されました

このたび、 『奪われた野にも春は来るか 鄭周河写真展の記録』(高文研) が刊行されました。 本書は3.11直後から福島の原発被災地で風景写真を撮り続けた韓国の写真家・鄭周河さんの、 日本各地で開催された写真展でのトークセッションの全記録を収録し…

7月20日付京都新聞 詩歌の本棚/新刊評

「詩人としての尹は、彼の詩よりもさらに詩であった。そして尹の詩は尹自身よりもさらに詩人であった」。今年二月十四日に同志社大学で行われた、尹東柱(ユンドンジュ)七十周忌の記念式典で、韓国の詩人高銀(コウン)が語った言葉。治安維持法下で危険を…

書評:『前夜』(黄英治(ファン・ヨンチ)著、コールサック社)

息もつかず一気に読んだ。 2009年12月4日に起こった、在特会による京都朝鮮初級学校襲撃事件が象徴するよに、 昨今日本の各地で、ヘイトクライムが勃発している。 この本は、ヘイトに加担してしまう元在日韓国人の若者と、 ヘイトに挑む在日朝鮮人の…

「尹東柱とわたしたち・2015」のご案内

【「尹東柱とわたしたち・2015」のご案内】 「尹東柱歿後70年=戦後70年」。 日本において、尹東柱を死に至らしめた時代と、 そして再び戦争の道へと踏み込もうとする今の時代を想いつつ、わたしたちはいかに歌い、語り、抗うべきか。 みなさまとともに詩に…

『詩人会議』8月号に、詩「月桃―伊都子忌によせて」が掲載されました

『詩人会議』8月号に、詩「月桃―伊都子忌によせて」が掲載されました。 今年4月29日に京都で行われた岡部伊都子さんの命日の集いに、沖縄・竹富島から贈られた月桃の花をモチーフとしています。沖縄で自決した恋人の魂のように、岡部さんが生涯愛し続け…

【「闇より黒い光のうたを」書評】須藤岳史「獣性の痕跡、その先に」(「望星」6月号)

「望星」6月号(東海大学出版部)で、須藤岳史さんによる拙著『闇より黒い光のうたを』の書評が掲載されました。須藤さんのご了解を得ましたので、以下にアップいたします。 獣性の痕跡、その先に 須藤岳史 本書は詩人による詩人論である。著者は伊東柱、ツ…

2015年6月1日付京都新聞朝刊・詩歌の本棚/新刊評

去る五月十六日、公開座談会「ラクダが針の穴を通るとき―3.11後の時代と女性の言葉」が京都であり、パネラーとして参加した。震災と原発事故の被害が続く今、被災地から遠い関西で3.11後の詩をいかに紡いでいけるかが議論された。直接的な体験に近づくために…

2015.5.16公開シンポジウム「ラクダが針の穴を通るときー3.11後の時代と女性の言葉」

昨日京都キャンパスプラザで行われた 公開シンポ「ラクダが針の穴を通るときー3.11後の時代と女性の言葉」 は大盛会でした。 被災地から遠い関西の地で、3.11後の詩を書くとはいかなることか―。 質疑も含め皆で考えた稀有な時間となりました。 嬉しかったの…

【お知らせ】5月3、5、6日に西日本新聞にインタビューとエッセイが掲載されます

お知らせです。 5月3、5、6日に西日本新聞に インタビュー記事とエッセイが掲載されます。 3日(日)は、読書面の「本と人」欄で、新著『闇より黒い光のうたを――十五人の詩獣たち』(藤原書店)についてのインタビュー記事が掲載されます。 5日(火)と…

【告知】5月16日公開討論会「ラクダが針の穴を通るとき」

告知です。 5月16日に京都のキャンパスプラザ京都で 中村純さん、岡島弘子さんと私の三人で 公開座談会「ラクダが針の穴を通るとき─3.11後の時代と女性の言葉」を行います。 司会は一色真理さん、コーディネーターは為平澪さん。 三人それぞれの詩的感受性が…

4月26日付京都民報/中村純「単独者として花であること―詩獣たち『闇より黒い光のうたを』」

単独者として花であること―詩獣たち『闇より黒い光のうたを』河津聖恵 中村純(詩人) 「詩には、人知れず被った暴力によって傷ついた者たちの呻きがひそむ」。時代が、いのちを押しつぶすものであればこそ、詩で生き延びる希望をつないだ痛々しい詩獣たち。…

4月20日付京都新聞「詩歌の本棚・新刊評」

詩を書く行為は、人のどのような営みにたとえられるのか。夢見る、歌う、泣き笑う――。古来そのような人間的行為は詩と密接に関係している。だが現代詩は、人として生きるために必要な行為がおのずと抑圧されてしまうから、生まれるものでもある。「ひっかく…