『詩人会議』8月号に、詩「月桃―伊都子忌によせて」が掲載されました。
今年4月29日に京都で行われた岡部伊都子さんの命日の集いに、沖縄・竹富島から贈られた月桃の花をモチーフとしています。沖縄で自決した恋人の魂のように、岡部さんが生涯愛し続けた花でした。
月桃 ―伊都子忌によせて(前半部分)
初めて見たはつ夏の花は
今は亡き人の 桜をめづる優しい遺影の前
微笑みをしずかに受けとめ俯き壺をあふれて咲きこぼれている
遙か南の島から贈られた
その人が魂に宿しつづけたという白い花房
思いの外甘い香りはなく
咲きはじめて七年を生きているかのよう
赤らむ蕾の先は今ここの空気に触れ
可憐にとまどい黙している
花は見る者の心をのぞき込む
(私を根から慈しむ、うつぐみ魂はありますか)
亡き人自身が今摘んできた、とでもいうように
花は感情をかすかに高ぶらせ 揺れている
私の��本土�≠ェ花の��沖縄�≠ノ照らされる
(後略)