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詩空間

河津聖恵のブログ。この世界が輝きわたる詩のプリズムを探しつづける。

ヤドリギ金子さんの詩「臆病風?」

現職教師であり詩人でもあるひとの、魂の葛藤とことの真実が鋭くうたわれていると思いました。

臆病風?

                        ヤドリギ金子

総務部長の厳かな号令
「国歌斉唱」
国歌って何?
とまた思いつつ
なぜ「君が代」なのだろう
と何度思ってきたのだろうと思いつつ
歌には罪がないのだが
いかに歌われてきたか、
その中のある一点にまたとまどう
罪をも背負わされてしまった
めずらしい歌を思う
ああ、もう飽き飽きしてやるせない
腰を上げればいいだけの話しだ
声を機械的に出せばいいだけの話しだ
かつて教え子だった
今は熱血教師ぶりの同僚となった彼が
赴任早々の歓迎会で
「日本人なら歌うのが当然ですよ」と・・・
私は決して教育などというものを過信してはいない
かといって、こうして現に携わるかぎり悲嘆する
私はこれまでいったい何を教えてきたのか
私はなぜこんなにこだわっているのか?と
たいしたことではないではないか
たかが歌だ
何分間か座っていればいいだけの話だ
口パクでいいのだ
まわりはごく自然に立っている
ように見えるのだが
そうなのだろうか?
きっとみんな「大人」なのだろう
もっと大きなことにこだわりたいのだろう
そうとは思いたくないのだが
叱られて廊下に立たされた子どものように
あまりに小さい私の孤独の時間が流れていく
座り続けて
音が、
歌ではなく
音が、
歌では決してない
音が、
これまでのことをなかったかのようにして
なすりつけ合い
わからないことをごまかすように
詭弁を弄する政治家たちの
声のように変幻し
鼓膜にすり寄る
ちまちました小さな世界の権力にしがみつくことで
教育を忘却して平然とし
自由に黙し
疑念があっても服従することが能力だと錯誤している人が
堂々と「歌って」いる
ところが、私はこわばりもしないで
「歌の力」で
一瞬、哀しい金縛りにあってしまう人びと
を想像しようとし
過ぎ去るのをただ待つ
こんなことで・・・くだらない、くだらなすぎる
と思いつつ
自由なはずだ
などとも思ったりする
(それにしてもなんてみみっちい自由だ!)

ああ、大げさすぎる
いや、どこまで行くのか?
式での警備係は無理だろう
今年度、私は呼名する三年担任だ