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河津聖恵のブログ 「詩空間」

この世界が輝きわたる詩のプリズムを探しつづける。

「詩と音の会」に参加しました

京都の詩人名古きよえさん主宰の「詩と音の会」に参加しました。Image1431_2
同会は、現代詩の自作を朗読し、弾き語り、演奏などを共に聴く会です。
年に一回、京都にふさわしい場所でひらかれます。

今回の会場は、御所近くにある大聖寺門跡。
代々皇女が門主を務めたという由緒ある尼寺です。
私も長いこと京都にいながら、こんな素敵なお寺があるとは知りませんでした。
街中とは思えない靜けさ、雅やかな庭・・・。
とりわけ今日は雨上がりの緑が美しく、
梅雨時のしっとりとした空気が、お寺の古くも優しい内部にみちている。
詩の朗読にはぴったりの環境です。

京都や大阪だけでなく三重や兵庫や遠くは埼玉からも集った詩人たち十数人の
靜かな声が、空気に伝わり、柱や畳に優しく受け止められていきました。

私はこれまで人の朗読を聴くのが正直苦手だったのですが
今日は、すべての人の朗読がひっそりとしていて
それぞれの詩をどこか「打ち明ける」ような感じで
声や言葉だけでなく、詩人たちの生き方を表すたたずまいにも惹かれ
おのずと心が動かされていきました。

詩の内容はやはり震災から受けた衝撃をうたったものが多かったです。
その中の一人、すみくらまりこさんの「祈る花」は
すみくらさんの真摯な声に乗って私の胸にずしりと響きました。
「花ですら/祈る島/日本列島、」

山本竹勇さんの津軽三味線の生演奏も素晴らしかったです。
やはり会場の柱や畳が三味線の音をうまく吸いこんでくれると言ってました。
津軽三味線の実演は初めて見ました。
まっすぐ前を見つめて棹などをちらとも見ることはしないのは
かつて盲目の芸人が弾いた名残なのか、などとふと思ったり。

それから京大落語研究会の葵家猫忠さんの一席も楽しかった。

私は朗読ではなく、詩についての話をしました。
題して「関東大震災と詩──中也を中心に」。
しかし準備不足でかなり題負けしていたようです。
あとである人から「あなたの朗読が良かった!!」
と意表をつくおほめをいただき
朗読? 私は話をしたんだけどなー、といぶかしく思いつつ、
ハタと気づきました。
そう、話の終わりの方に、震災後中也が熱を入れたダダ詩の例として
「ダダ音楽の歌詞」の全文を紹介したのです。
話下手をフォローしようとしてか、
つい声が弾み高らかになってしまった。
たしかにあれは朗読のひとときでした・・・。
「ウハキはハミガキ/ウハバミはウロコ/太陽が落ちて/太陽の世界が始つた」