2018-03-01から1ヶ月間の記事一覧
〈人間〉を生み出す 河津聖恵 侵略戦争や植民地支配の加害責任を、日本人である私が我が身に引き受けて考えることは、辛く難しい。しかし支えとなる言葉がある。「〈人間〉はつねに加害者のなかから生まれる」。石原吉郎がエッセイ「ペシミストの勇気」で述…
キリスト教の信仰を持つある書き手の方の新詩集の帯文を書かせていただいた。来月には刊行されるだろうか。 頼まれた当初は、うれしく思いつつも、一方で不安でもあった。キリスト教の信仰を頭でしかわからない私が、その信仰をもといに書かれた詩に足を踏み…
金時鐘・佐高信『「在日」を生きる』(集英社新書)は、日本語が母語の者が意識しにくい、日本語に潜む負の力を指摘する。五十音による発音の排他性と、情感に均されることによる批判精神の欠落だが、現代の書き手はそうした問題と無縁だろうか。むしろそれ…