笑ったり楽しんだりしているときすら
ときに根深い緊張の氷のうえにいるような気がするのです。
楽しくない、というのではないけれど
氷が溶けるほどの楽しさをなかなか味わえない。
しかし、だからこそつねに楽しくありたいと思います。
笑いがほしい。
今、誰もが笑いを忘れている気がする。
怒ってばかりです。
門林さんの世界に接し、肩の力が抜けました。
緊張からの解放が笑いなのだと誰かが言ったけれど
美しいものをまえにしたときのような笑いが
私の中にたちのぼりました。
表紙もとても好きです。土曜美術社出版販売。
習性
金色の糞(ふん)をする虫がいる
それをあつめるアリがいる
働きアリは丹念に
唾液をぬってたくわえる
次の世代の女王のように……
アリの巣は
金色の糞でいっぱいだ
自らに
壁に張りつけ
しみになれ
秋風
ラーメン屋ののぼり持ち
竹竿はうめく
倒産寸前!
かるく
おのおのがた
かるく
もっとかるく……
われらはちいさき
いきものなれば
琵琶湖畔
岸にうずくまる
馬面の流木
波が来るたび
涙する